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『プロデューサーズ』DVD発売など

予約していた『プロデューサーズ』のDVDがアマゾンから届いた。

お約束として未公開映像が収録されているわけだが、これがなかなか興味深い。まずは、カットされていた “The King of Broadway”。ブロードウェイ版ではネイサン・レインが初めて登場し、歌い踊る場面であり、冒頭の見せ場でもある。この一曲がカットされたことで、公開版では開始直後の時間帯に延々とお芝居がつづくことになり、ややダレ気味になった。 “Along Came Bialy” には、もともとは little old ladies の何人かとレインが個別にいちゃつくショットが含まれていたことが確認できる。公開版でもエンドタイトルにつかわれていたので予想されたことではあったが、ここは削除も仕方なかろう。 “That Face” では、ユマ・サーマンとマシュー・ブロデリックにレインがくわわって、最後にもう一展開あったことがわかる。これを削らなければならなかったのは惜しかった。この一押しがあるのとないのとでは、同曲の印象は大きく異なっていただろう。それからもうひとつ、レインとブロデリックが初日を途中で抜けだして計画の「成功」を祝うバーの場面。ここも(1968年版とは異なって)あとに登場するリオの場面への伏線となっていただけに、残すことができていれば、物語の構成としてよりエレガントになっていたとおもう。

同時に届いたDVDは『レント』、そして1968年のオリジナル『プロデューサーズ』。前者は文化村のル・シネマで上映されていた。ぼくもそこで見た。ほぼ同時期に大作扱いで公開されていた『プロデューサーズ』が何度行っても広い劇場にチラホラとしか観客の姿が認められなかったのに比べ、こちらのほうは満員御礼状態。観客の多くは女性で、一様に感動した表情を浮かべて劇場を後にしていたのが印象的だった。たしかにそういう映画なのだ。見方を変えれば、「ミュージカル映画」としては見るべきものは多くない。詳しくは、そのうちどこかで書く。

後者はメル・ブルックスの映画監督デビュー作で、当時日本での公開は見送られた。DVD化は初めてだそうだ。05年版(スーザン・ストローマン監督)と単純に比較しても仕方ないかもしれないが、あらためて観ると、いかにもメル・ブルックスらしい。すなわち、コア・アイディア頼みで、ギャグも淡泊なら、脚本の練り方もずいぶん甘い。その結果、「春の日のヒトラー」が「成功」へと転換してしまうポイントが不明瞭となり、また中盤以降はゼロ・モステル演じるマックス・ビアリストックがいたってまっとうな人物に見えてしまうという構造的難点を抱えこむことになった。──というのが厳しめモードでのコメント。むろんふつうに観て十分にたのしめる作品という評価が前提である。
(10月7日、若干追記。)