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グアムと日本人

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関西大学の山口誠さんから新著が届いた。『グアムと日本人──戦争を埋め立てた楽園』(岩波新書)だ。

光を観る、と書いて「観光」である。観光に出かける者は「光」しか目にすることはない。そもそも観光地も観光客も、そのように建造されている。けれども、光あてればつねに影ができる。影とは、観光の対象に相応しくない──つまり消費の記号にそぐわないとされるその場所の歴史や記憶である。グアムのばあい、それは明らかに戦争だ。太平洋戦争の終結ののちこの島は、一方で旧日本兵の生き残りを密林にかかえたまま、もう一方で、日本人向けの「南島パラダイス」的観光地として転生を図るのだが、そのさい戦争の影を表象によって隠蔽していく。これを山口さんは「記憶の埋め立て」とよぶ。的を射た言い方だとおもう。山口さん、ありがとうございました。ちなみに、ぼくはグアムには行ったことがない。

たまたま──なのだが、今日は広島原爆投下62年目の日だ。この季節がくるとマスメディアはこぞって戦争をとりあげる。たしかにジャーナリズムの一種のパターナリズムだろうし、それを批判するのはそうむずかしくない。だが、たとえそうであっても、あらためて戦争と、戦争の記憶について考えるきっかけになるのなら、それなりに意味はあるだろう。いまこの瞬間もまだ、世界は戦時下にあるのだし。