夏休み自由研究

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夏休みといえば自由研究である。

今年、長男は早くから、太陽について調べることに決めた。図鑑を見て、面白そうなところを抜き書きしはじめた。8月に入り、お盆休みを過ぎても、まだ抜き書きがつづいている。どうやら、社会科の調べ学習と同じようなつもりらしい。見かねたカミさんが、「調べるのもいいけど、なにか実験とか観察もしたら? 理科なんだから」と物言いをつけた。

すると長男は、プロミネンスや黒点を観察したいといいだした。器具もないし、残念だがちょっとむずかしいのではないか。それじゃあというので、かれが出したアイディアが、ベランダに棒を立てて、毎日正午にその影の位置を調べる、というもの。たしかに、40日間の夏休みのあいだじゅうそれをつづければ、太陽の軌道の変化がわかって、自由研究として悪くないかもしれない。しかし、すでにお盆も過ぎて、残された夏休みはあと10日だけだ。いや10日間だけ観測してもいいのだが、かれには毎日部活がある。正午に自宅にいる日はほとんどない。どうやって観測するつもりなのだ?

けっきょく一日だけ集中して観測しようということになった。方眼紙を貼りあわせた台紙の上にちびた鉛筆を立てて観測装置をつくる。それをデッキにもちだし、日の出から日没まで、一時間おきに影の位置と長さを記録するのである。灼熱の残暑つづきだから、明日も晴れそうだ。

翌朝。現在の日の出は午前5時すぎ。長男は4時45分に起きて、ロフトからデッキにあがった。日の出の時刻、東の空が明るくなり、日が昇る。だが隣家の屋根の影になって、かれの観測装置には影ができない。なかなかできない。眠くてぼんやりし、デッキから転げ落ちそうになる。

そのうち雲が出てきた。ようやく雲が切れ、初めて影が観測できたのは、6時15分だった。そのときは、方眼紙の台紙をはるかにはみ出すほど長い影ができていた。ところが、7時に観測すると、影はうんと短くなっていた。

それからかれは、毎正時になるとせっせとデッキに出て観測をつづけた。午後5時の観測を済ませたあと、西の空に巨大な雲がせり出し、太陽を隠した。日はだいぶ傾き、雲は大きく厚かった。日没まであと1時間半を残すだけだった。だが観測はここで断念せざるをえなかった。

デッキから降りてきた長男は、やれやれといったようすで、当たり前のように言った。「こんど部活の休みの日にもう一日観測する」。その日が晴れてくれるといいのだが。