卒業

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今年の卒業式は3月18日だった(他人にはどうでもいいことにちがいないが、誕生日でもあった)。式は、修復工事の終わったばかりのチャペルでおこなわれ、そのあと学科ごとの授与式となる。夕方からは、卒業生主催の謝恩会。心のこもった、温かな会だった。

ぼくの担当する芸術メディア系列は、新設されてちょうど2年たったところだ。卒論ゼミをもつ機会は、まだない。今年の卒業生たちとの付きあいといえば、ぼくの授業をたまたま受講したという程度にすぎない。にもかかわらず、わざわざ挨拶に来てくれた学生が何人もいた。

2年前、かれらは3年生になって白金キャンパスに来た。そこにぼくが赴任し、専任教員として授業をすることになった。ぼくの授業は基本的に参加型ですすめるのだが、試行錯誤で、手探りの連続だった(いまもそうだが)。学生にしてみれば、とまどいもあったにちがいないのだが、新米教員の下手な話に耳を傾け、つぎつぎ出される課題に(文句をいいながらも)かれらなりにまじめに取り組んで、合間にあれこれと話を聞かせてくれた。その経験が、有形無形にぼくの糧となった。ぼくもまた、かれらに教えられたのだった。

最後にもらった立派な花束を、帰宅して花瓶に生けた。白いトルコギキョウが、いい匂いだ。仔猫のてんてんがテーブルの上にやってきて頬をすり寄せ、花びらの端をかじった。

卒業おめでとう。これからの人生に幸あることを。

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