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ぞうさん

新型インフルエンザは、うちの子たちのかよう近所の学校にも蔓延しつつある。ある日に2名だったのに翌日には10名、さらにそのつぎの日には14名、という勢いで感染児童が増加している。《みの》の中学では、かれの学年ごと閉鎖になった。さいわい本人はいたって元気で、「初めての経験だ」とよろこんでいたが、実際に始まってみると退屈でどうしようもないらしい。

市教委の方針で、2名感染者のでたクラスは即刻学級閉鎖なのだという。《なな》や《くんくん》のかよう小学校でも2クラスが対象となり、それがたまたま同一学年だったため、そちらも学年ごと閉鎖になった。

《なな》も《くんくん》も、それぞれの学級は、いまのところ、そこまで深刻な事態にはなっていない。とにかく手洗いが予防に有効だというので、学校では手洗い励行している。ふつうよりもやや長い時間かけるのがよい。童謡「ぞうさん」をちょうど2回うたうくらいの長さが最適、なのだそうだ。

そこで《くんくん》たちは手洗い場にやってきては、せっせと手を洗う。その間、声をだして「ぞーおさん、ぞーおさん、おーはながながいのね……」といった調子で、まど・みちおの書いた例の詞を團伊玖磨のあのメロディに載せて2回うたう。

ところが洗面所には蛇口が3つしかない。みんなが一気に押し寄せると、順番待ちをしてならぶ。みんな同じく2回くりかえしてうたっているはずなのに、交代するタイミングは蛇口によってまちまち。つぎの子はまわりにかまわず「ぞーおさん」とやりはじめる。

この9月から保健係に配転された《くんくん》は、そのようすを横で見ているのが「お仕事」である。進度の異なる「ぞうさん」の歌がたがいに響きあうことなくむちゃくちゃにうたわれているその空間に黙って身をおいていると、「もう何が何だかわかんない」状態になるのだという。