戸塚でリスを見た

週に一度、戸塚にかよっている。横浜キャンパスで1/2年次の授業するためだ。

駅からは毎回歩く。職員バスもあるが、よほどのことがないかぎり、乗らない。

徒歩で通学することを、学生たちは「登山」とよぶらしい。じっさい、キャンパスは山の上にある。この時期、歩けば暑い。汗が流れる。

そうして、ふうふう言いながら、約30分かけてたどり着いたキャンパスで、今週はリスを見た。

ふと顔をあげると、リスがいたのだ。以前に木の枝の上にいるのを見かけたことはあった。だが今日はちがった。目の前のレンガの舗道のうえをこちらに向かって走ってくるところだった。

リスはぼくの存在に気づいたのか、急制動した。上体をおこして、こちらのようすを見た。たがいに目があった。全身は青味がかかった灰色。尻尾は太い。

写真を撮ろうとiPhoneをとりだそうとした。だが、あいにくビーチボーイズを聴いている最中で、カメラアプリを起動するのに手間どった。もたもたしているうちに、リスは左右に小刻みに何度か頭を振り、反転して、植え込みのほうへ戻っていってしまった。

走り去っていくリスの後ろ姿をみた。後ろ脚を左右同時に蹴りあげる。脚は真後ろではなく、少し斜め外側に開き、扇状になる。そのようにして、前後の脚をひろげ、空中に浮かぶようにして跳ぶのだった。

リスの写真を撮ることはできなかった。代わりに、並木の木漏れ日を撮影した。舗道に落ちた木の葉の陰を踏みしめながら、また歩き始めた。

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