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映画『ステキな金縛り』

映画『』を観た。大ヒット中ということらしいが、三谷幸喜作品としては中程度の出来である。

作中でフランク・キャプラ監督の名前とともに、かれの代表作『』(DVDパッケージが映る)と『』(言及だけ)が参照される。じっさい、この2作品にコロンボと『羅生門』を足して水割りにしたような内容だ。

全体としては、喜劇性よりも人間ドラマに軸足がおかれている。三谷作品がしばしば陥るケースである。だからこそ広い客層にウケるのかもしれないが、切れ味抜群のシチュエーション・コメディを期待していくと、まず落胆するだろう。

設定はまずまず面白いが、あまり発展してくれない。個々の要素的エピソードが弱く、全体の組立もかなり乱暴だ。

阿部寛など、ジェームズ・スチュワートになりうる予感が感じられなくもないのに、終盤を迎えると急に妙な扱いをうけることになってしまう。もったいないことである。最後のほうの、裁判が終わったあとのエピソードは、説明的だし長すぎる。なくてもいいくらいである。

芝居は、あえて、なのだろうが、えらく大仰な小芝居が散見される。その「あえて」がどこに向けられた狙いなのかが、いまひとつよくわからず、全体に学芸会や隠し芸大会のような印象ばかりが残る。年配の俳優が演じてしかるべき役柄を、妙につるつるした若い役者に振っていることも、それに拍車をかけている。

ソール・バスふうのオープニングはよかった。最大の収穫は、コメディエンヌとしての深津絵里が確認できたことであろうか。

このひとは、もっと面白いシチュエーション・コメディを撮ることができるはずだ。晩年のキャプラのような自己の再生産モードに入るには、まだ早すぎる。次作に期待したい。

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