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映画『二郎は鮨の夢を見る』

ヒューマントラスト有楽町で『』を観てきた。

若い米国人ドキュメンタリストの初監督作品。バランスがとれており、鮨職人の最高峰といわれる小野二郎さんの握る鮨がどんなにすばらしいかも、たぶんそれなりに描けているだろう。

とはいえ今回ぼくは作品を観るという身構えで行ったのではなかった。ミシュランで六年連続三つ星の「すきやばし次郎」のお寿司に関心があったというのでもない。お店がどこにあるのかも知らないし、そんな分不相応な食事にはたぶんこの先もずっと縁がないだろう。

ぼくが映画館へ行ったのは、一流の職人が一流の職人として働く姿を見たかったからである。

小野さんの日々は、基本的には同じことのくりかえしだ。来る日も来る日も、決まった仕事を決まった手順で、ひたすら淡々と重ねてゆく。

しかしそれは、けっしてたんなる反復ではない。決まったことのくりかえしのなかに、つねに細かな創意と工夫と挑戦がある。

決まったことの反復のなかにしか、「現在」を乗り越え、「前」や「上」を見て少しでも先へすすむ契機を見出すことはできない。小野さんやその息子、そして若い弟子たちの立ち居振る舞いが物語るのは、そのような世界の見方である。

それをもし職人的世界観とよぶことができるのなら、ぼくにとってそれは、ベンヤミン的な複製性と一回性の関係を想起させるものである。

そしてまた興味深いのは、職人的世界観へのそのような共振の仕方が、映画という複製技術において実現されたことである。

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