ディズニーシーから観覧車は見えるか 1/2

ウェブ連載の第3回(「ディズニーランド化した日常?」)の最後に観覧車のことを書いた。これに関連してちょっと確かめたいことがでてきた。ディズニーシーから葛西の観覧車は見えるのか、ということである。

よく知られているように、ディズニーランドは外部への視線を封じる自己充足的な構造をもっている。いっぽうディズニーシーのほうは、北田暁大さんが『広告都市東京』のなかで指摘するように、その構造に綻びがみられるとされている。実際のところどんなものなのか。実踏してじぶんの目できちんと確認しておきたくなったのだ。そこで、ひさしぶりに葛西と舞浜周辺を歩いてきた。

葛西臨海公園を歩きまわったあと、観覧車に乗ってみた。1989年開設の日本最大の観覧車、という触れ込みだ。

上のほうへ昇ると、旧江戸川河口をはさんで東の対岸にある東京ディズニーリゾートが丸見えである。

これなら、あんがい向こうからもこちらを視認できるのではないか。舞浜駅へ移動した。

JR舞浜駅からリゾートラインに乗ろうとすると、リゾートゲートウェイ・ステーションのホームから、ディズニーランドホテルの肩越しに葛西の観覧車がよく見えた。

ベイサイド・ステーションで降り、ヒルトンの前の防波堤まで歩いてみた。ここからは、対岸の葛西にある観覧車から、ディズニーリゾートを取り囲むようにして建つホテル群までが一望できる。岸壁で釣りをしているおじさんが一名。

つぎに、ディズニーシーに行ってみた。エントランス付近にミニーが来場中であった。

一緒に調査した大学院生〈まゆゆ〉が事前に調べてきてくれた情報をもとに、いくつか可能性のありそうな場所を中心に探してみた。夏休み期間中とて、まわりがみんな遊びモードではしゃいでいるなかで、ぼくたちだけがひたすら汗だくになって歩きまわり、写真を撮っていたのだった。

結論からいえば、たんにシーの外部が見えればよいという条件であれば、数カ所あることがわかった。

たとえば、メディテレーニアンハーバーをのぞむフォートレス・エクスプロレーションの望楼からは、東側に隣接する埋立地にたつ京葉ガスのガスタンクやクリーンセンターの排気筒がよく見える。

ところが、それらシー「外部」の風景にいかにも外部的な違和感を感じるかというと、おもいのほか、そうでもない。写真でみるように、シーのごちゃごちゃしたスカイラインに融け込んでいるというか、吸収されているように見える。

シーの中心に位置するダークライド系のアトラクション「センター・オブ・ジ・アース」のなかで、急降下する直前に一瞬外部に飛びだすが、そのときも同じ方角の外部が視認できる。撮影禁止なので搭乗中の写真はないが、この箇所のことである。

アメリカンウォーターフロントにある客船コロンビア号の甲板からは、パークの敷地境界と、その向こう側に走る道路(千葉県道276か?)、さらに防波堤をはさんで東京湾を見渡すことができる。写真左手奥にゲートブリッジが映っている。

もっとも、それもそのはず。このコロンビア号のなかにあるレストランは、東京湾を借景とした眺めが「売り」なのだ。より正しくいえば、それは「東京湾」でありながら、そうではない。シーの「物語」のなかでは、ここは「ミッドタウンあたりのハドソン川に面した波止場」であるだろうから。

その2へつづく。

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