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シンガポール・フライヤーに乗ってきた 3/3

シンガポール・フライヤーの降車口は、地上3階にある。搭乗口と同じフロアだが、出口は反対側(進行方向に向かって右手)だ。

地上へ降りるためには、観覧車をぐるりととりかこむビルのなかをとおっていかねばならない。ビルは先述のようにバームクーヘンをつぶした楕円形で、中央に観覧車の基台があるのだが、そのまわりは植栽されている。そこを中庭として、各階とも内側にぐるりとバルコニーのように回廊がつけられ、回廊にそってテナントがならんでいる。

降車した3階にはまず、搭乗時に撮影された写真売場がある。値段は不明だが、むろんスルー。さっきの天津のカップルは買っていた。その横がお土産もの売場で、そこから先はテナントエリアである。よく知らないが「高級」っぽいお店が多いみたいだ。地上階には主として飲食店が入っているのだが、これも高級路線。ちょうどお昼時だったにもかかわらず、どう見てもお客さんが入っているようには見えなかった。肝心の観覧車があの空きぐあいなのだから、当然といえば当然かもしれない。

観覧車と商業ビルの結合は、日本でも広く見られる。たとえば、札幌や名古屋では、市内の商業ビルの屋上に観覧車が載っかっている。鹿児島あたりでは駅ビルの上で観覧車がまわっている。

その意味で、シンガポール・フライヤーも同種ということができるだろう。

しかし、観覧車と商業ビルの関係については、ちがいもある。

近年の日本の例では、主体はあくまで商業ビルであって、観覧車はあくまでひとびとを惹きつけるためのアトラクションであり、あまり上品とはいえない言い方でいえば「客寄せパンダ」的な付帯施設だ。

いっぽうシンガポール・フライヤーのばあいは、その逆。あくまで観覧車というアトラクションが目玉なのであり、商業施設はそれに寄生している。

このちがいの幾割かは、観覧車それ自体がひとびとをどれだけ惹きつける力をもっているかということに起因しているだろう。つまり、ここでは観覧車というテクノロジーの経験がもたらす「魔術」は、まだ多少は信じられている。でなければ、少なくとも「国家の象徴」という話には結ぶつくまい。

そしてそれは、アトラクションという遊戯機械の社会的な意味や位置づけのちがいをも示唆しているのではないか。さらにいえば、遊戯機械という範疇を越えて、テクノロジーと身体と社会の関係全体ともつながっているのではないか。

     *

最先端テクノロジーを強調するシンガポール・フライヤーにおいて、その地上階の一画にあるフードコートは、むしろ伝統的な「シンガポールらしさ」を演出しようとした場所であった。そして、ここにだけは、それなりにひとの姿があった。

フードコートのことをこちらではホーカーズとよぶ。屋台形式のお店が何軒もならんでいる。そのなかで、もっともお客さんがならんでいたのが、チキンライス(海南鶏飯)の店だった。ぼくも朝は機内食の残りのパンをひと切れたべただけ。すっかり腹ぺこだ。

メニューはチキンライスだけ。日本でチキンライスといえばトマトケチャップで炒めたごはんのことをさす。こちらのそれはまるで別物だ。

ひとつくださいと頼むと、おじさんがつるしてあったローストチキンを切り株のようなまな板の上におき、四角い包丁で骨ごとぶった切る。それをごはんのうえに数きれならべ、ソースをかけてだされる。甘めの味噌みたいなのが小皿についてくる。カウンターにチリソースの入った壺がおいてあるから、好みでかけてもいい(辛かった)。そうしたら、お皿をペナペナになったトレーにのせて好きなテーブルまで運ぶ。

ひとくちたべてみた。おいしい。ローストしたチキンとぱさぱさのタイ米がよくあう。ああ東南アジアにまた来たんだな、という味がした。

フードコートには近隣のビジネスマンや、ちょうど準備中だったF1シンガポールGPのスタッフたちも大勢来ていた。かれらのかなりの割合が、このチキンライスをたべているのだった。

代金は5ドル。このホーカーズのほかの屋台のメニューのなかでは、ほぼ最安だったとおもう。とはいえ円換算すれば400円弱なのだから、日本のファーストフード事情を考えると、破格に安価というわけでもない。なお、このときのチキンライスの味が忘れられず、帰国時にチャンギ空港のホーカーズでも懲りずにまた頼んでみた。しかし残念ながら、高い(6.5ドル)わりにちっともおいしくなかった。

10分たらずでたべおえてしまった。食器はテーブルの上においておくと、係のひとがさげてくれるらしい。

ホテルでもらってきたミネラルウォーターをのんだ。真上からの陽射しと埃っぽい風にさらされながら、ブギスまで、汗だくになって歩いた。

おわり。

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