W800で潮岬へゆく(3)──古座・那智勝浦・芦浜原発計画地、そして帰途に

前回までは潮岬への往路について記した。今回は復路である。トラックデータはこちら。

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夜中に二度目が覚めた。最初はまだ日付が変わる前。お手洗いにでると、満天の星空だった。つぎは0300ごろ、酔っぱらったのか、複数人がなにやら大声で叫んでいた。迷惑な話である。

0430、iPhoneにセットしたタイマーで目が覚めた。クリームパン一個で簡単な朝食とした。結果的に、この日の食事は帰宅するまで、これだけとなった。

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テントを撤収していると、中学生くらいの男の子が来て、隣に座り込み、ケータイをいじりはじめた。しばらくすると母親らしきひとがあらわれ、ここが開くならつかわせてもらっていいかという。昨晩テントを張った場所は風が強くて大変だったのだという。

W800に荷物を積んでいると、スーパーカブ110PROに乗ったおじいさんがやってきた。地元串本町ナンバーである。くるっと右まわりにUターンして停車したのだが、そのターンの仕方が目を惹いた。腰を左に落として、きわめてコンパクトに右旋回してみせるのである。ぼくが感心して見ていると、おじいさんが話しかけてきた。若いころトライアルをやっていたことがあるのだそうだ。

おじいさんは、ぼくのWを見るなり、カワサキか? と訊く。若いころ右チェンジのWに乗っていたのだという。だとすれば、W1もしくはW1Sだろう。

近所に住んでいて、この望桜の芝の管理もしているのだそうだ。埼玉にお子さん一家がおり、年に三回でかけてゆく、この5月も孫の運動会で行く予定だという。ぼくが、このカブで行かれるのですかと訊ねると、車でだ、と叱られた。

隣には宇都宮ナンバーのハーレーが停まっていた。ハーレーについてはほとんど知識がないので詳しい車種はわからない。後部に、米軍払いさげの防水ボックスに荷物を積載しているのが目にとまった。ボックスのベースは鉄板で、自作ではないかとおもわれた。ライダーの男性によれば、宇都宮から下道で四国まで行き、その帰り道なのだという。先日の大雨のなかも、びしょ濡れになりながら走っていましたよと笑っていた。

0640に出発した。

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串本市内を抜け、橋杭岩の道の駅に寄ってみた。車中泊の車がずらりと停まり、家族づれが朝食中だった。

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紀伊田原でR42をはずれ、荒船リゾートの前の道を、海沿いに入ってゆく。車一台分の幅員しかない。岩場の海岸沿いの道は、ときどき波しぶきをかぶりそうなくらい、海に近い。

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その部分のトラックデータをGoogleEarth上に展開した図がこれ。右上に盲腸のように行き止まりの軌跡があるのが、この道である。なお左下が出発地点の潮岬である。

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この奧にかけて、二つの原発が計画され、地元の反対にあい、最終的に中止されている。手前に古座原発、その奧に那智勝浦原発である。

あらふねリゾートのキャンプ場をすぎると、一箇所に数軒の人家があり、漁の準備をしていた。その先は、ただ海岸があるだけである。

素掘りのトンネルがあった。二箇所である。

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4kmほどすすんだところで、行き止まりになっていた。おどろいたことに、小型の乗用車が一台、停まっていた。釣り人であろうか。

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「鬼宿」と記された札がたっていた。

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詳しい情報がないのでよくわからないが、おそらく那智勝浦原発の計画地がこのさらに先にあたるのではないかとおもわれる。

来た道を戻る。

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R42に復帰した。新宮市内で、Wのオドメーターが10000kmを示した。記念写真を撮る。

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熊野から尾鷲までは高規格の新道ができているが、旧道のほうを走る。こちらも十分整備が行き届いていた。

紀伊長島からR260に入る。ひと山越えると、眼下に見えるのが錦漁港だ。そこに立ち寄ってみる。

漁港は小さな防潮堤に囲まれていた。コンクリートの壁には一面ペイントされていた。

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この錦の街の東側、山を越えたところが芦浜地区であり、芦浜原発の計画地がある。錦漁港から、東側をのぞんだのが、下の写真である。港をはさんで街と背後の山が見える。その奧に、原発計画地があるはずである。

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芦浜原発も烈しい反対運動のために中止になった。しかし現在も計画地の土地は中部電力が所有しているのだという。そのためなのかどうかは不明だが、計画地のほうへ入っていく道路は見つけられなかった。

少し小高い、トロピカルガーデンという公園(?)の駐車場から見下ろした。漁船の整備をしている横で、子どもたちが海に入り、大声をあげて遊んでいた。都会にいる孫たちが帰省中、ということのようだった。

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さて、錦からはR260→三重県道16→R167と走って、鳥羽に入った。GWのためか、フェリーターミナルへの入口が少し変えられているようで、いったん通りすぎたあと、Uターンして戻ってくるような形になった。

さいわい20分後の便に乗ることができるという。二階のカウンターでチケットを購入していたら、バイクのひとはすぐに乗船準備をするようにとアナウンスが入った。

この便に乗るバイクは全部で11台。あと5分到着が遅れたら次便まわしであったようだ。バイクは予約不可のため、現地に先着するほかに手がない。

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鳥羽→伊良湖の便は、それでも比較的まだ空いていたが、逆方向は大混雑のようであった。55分の航海のあと、伊良湖で下船してみたら、そこには100台くらいのバイクが乗船待ちの列をつくっていた。一便に10台ほどしか乗れないのだとしたら、はたして今日中にすべてのバイクが乗船できるものなのだろうかと心配になってしまうほどだった。

伊良湖の道の駅も大混雑であった。何かたべようとおもったが、それどころではなかった。どこかで適当にとおもっていたが、けっきょく最後まで食事をとるタイミングを逸してしまった。

帰りはR42→R1バイパスで浜松ICから東名に乗って帰った。R1バイパスの浜松中田島付近で、たこ揚げ大会か何かが原因らしい渋滞に巻きこまれたほかは、さいわい空いていた。東名もめずらしく渋滞がなかった。休憩もとることなく、ひたすら風圧とたたかいながら、一気に千葉まで帰った。伊良湖から5時間弱で帰着した。潮岬からの帰路の走行距離は588km。往復では1423kmだった。

この項おわり。

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