得をしようとしすぎないこと

長年の経験からおもうのは、得をしようとしすぎると逆効果だということだ。

「どうせ得られるものなら少しでも多く」という気持ちはわからなくもない。人間だから、もちろん損するよりは得をしたいと考えるのは自然なことだろう。でも、あまり得をしようとしすぎると、いわゆる「欲をかく」状態になる。それによって、かえって失われるものも少なくない。得することに過度にとらわれすぎると、もっと大事なものを見失ってしまう。

つまり、局面局面での利得を最大化することが、必ずしもトータルで見たときに最善の結果に結びつくとは限らない、ということだ。なぜなら、あらゆる局面でつねに勝ち続けることは、現実には不可能だから。

だから、ものごとはつねにトータルで考え、勝負にでるときかどうかを見きわめることが大切だ。勝負どころだと判断したなら、そこでは一気に攻めて勝たなければならない。しかし勝負どころばかりということはありえない。もしそうおもうのなら、それは潮目の見きわめがついていないことを意味している。

勝負どころ以外では、そこそこ勝ったり負けたりをくりかえしていい。ただし、けっしてとりかえしのつかないような負け方だけは喫しないようにする。そうすれば、いずれまた、つぎの勝負どころがめぐってくる。そこでまた勝負をかければいい。

その時どきの局面にふりまわされすぎると、大局を見失ってしまう。それでは文字どおり元も子もない状態に陥ってしまうだろう。

何十年かの人生、けっきょくのところ全体で収支があっていればいいのだから。

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