クラゲを見にゆく

春の庄内散歩旅(全4回)を書いたが、そのとき見学した加茂水族館と、そこに展示されているクラゲについて「さんぽのしっぽ」のほうにあげた。よかったらご笑覧ください。

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加茂水族館は展示も立地も含めて、なかなかにいいところである。館からながめた日本海は絵に描いたようだ。いまにも日本海の荒波に洗われそうな場所にたっているのだ。

個人的に興味深かったのは、この小さな水族館にまつわる言説のパターンである。

経営的に苦境に陥り、そこから起死回生のクラゲ展示で世界一へV字回復したというストーリーである。加茂水族館の話はテレビなどのメディアのみならず、館自身も含めて、くりかえし反復的に語られる。実際、当時の関係者のご苦労が大変なものだったことは想像に難くない。それは十分に尊敬に値することである。

一方それとは別の次元の話として、こうした逆境からのV字復活という物語は、近年ひじょうに好んで語られる言説のパターンでもある。当事者だけでなく、まわりもさかんに語る。むろんそこに悪意はなく、純粋かつ素直な気持ちによるのだろう。こういう現象はいまの日本の社会ではまったく珍しくない。

個人的には、でも当事者たる水族館自身については、そうした言説の反復をとおした物語化・神話化の流れにそのまま乗っていってしまわず、ちょっと落ち着いて考えたほうがいいのではないかという気がする。