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金森修先生のこと

金森修先生が亡くなってから一週間以上がすぎた。

お通夜に参列させていただいた。会場には金森先生の、編著を含む著作のうち9冊がならべられていた。中央に飾ってあったのが『』だ。サントリー学芸賞と山崎賞を受賞されたこの著作は主著のひとつといっていい。そして同書は、編集者時代のぼくが企画編集したものだ。

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当時金森先生は東大に移られる前で、まだ東京水産大学におられた。再開発途中の品川駅港南口から水産大までの殺風景な道を、ぼくは何度となく歩いた。いまでは水産大は合併して海洋大と名前を変え、品川駅港南口さえもすっかり様変わりしてひさしいから、思いかえすと、ほんとうに昔話という気がする。

研究室にお邪魔すると、いかにもフランス科学思想の系譜に学んだ方らしく、よくバシュラールやカンギレムの話を聞かせてくださった。だからぼくは個人的に、かれの思考はちょっと意外なほど詩的な基盤に支えられていたのだろうとおもっている。

刊行後、販促という名目でシンポジウムをひらかせてもらったりもした。たんなる一編集者だったにもかかわらず、考えてみれば、ずいぶんいろんなことを学ぶ貴重な機会を与えていただいたのだった。あらためて感謝したい。

もともと先生は先端的な科学・科学技術の言説構成を批判的に検討する作業だけでなく、科学・科学技術と社会を結びつけるような知を日本に根づかせるようなお仕事にも注力されてこられた。しかし近年は、そのどちらにおいても、厳しい認識を示されることが多かったようにおもう。とりわけ3.11以降は、かなり切迫した危機感をいだいておられたのではないだろうか。そして、その危機感や焦燥感は必ずしも十分に共有されてきたとはいえなかったように、ぼくには見える。

もっとも、ぼくは編集者稼業をやめてからはお会いすることもなくなり、遠くから時折ながめるみたいな状況だったから、ここで述べたことはまったくの個人的な印象にすぎず、ぜんぜん見当違いかもしれないのだけど。

いつも「いい仕事がしたい」と言っておられた。まだ61歳。衷心よりご冥福をお祈りいたします。

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