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『七人の侍』4K版のすばらしさ

黒澤明監督の名作『』4K版を観てきた。この作品はもう何度観たことだろう。今回はデジタル修復された4K上映ということで期待していたが、ぼくの予想を上回るすばらしさだった。やっぱりできれば大きなスクリーンで観たほうがいいとおもいます。

全体に画面は明るく鮮明になっていた。以前に観たときにはややテンポが重いかなとおもったこともあったのだが、今回このような良好な状態で観ると、そのような重めのテンポもむしろ落ち着きと感じられた。つまり、少しずつテンポをあげながら徐々にクライマックスへと加速してゆく流れを感じとることができた。

予想外の収穫だったのサウンドである。この作品は、三船敏郎の菊千代はじめ、いろんな人物たちが怒鳴るようにしゃべることが多く、何をいっているのか聞き取れないことが少なくなかった。今回はそれがかなりクリアになっていた。さらに、馬の走る音や、町中の雑音、森のなかで木々がざわめく音なども、はっきりしているようにおもわれた。

こうした修復作業は地味で根気のいることだろうが、十分に敬意の払われるべき仕事だとおもう。

デジタル修復作業にかんする詳しいインタビューを見つけたので、ご興味のある方は読んでみてください。
http://www.stereosound.co.jp/review/article/2016/10/17/50246-2.html

もうひとつ、ひさしぶりに観てあらためて気がついたことがあった。それは、クライマックスの雨中の戦闘場面で、けっこう引きの画が多いことだ。昨今のアクション映画ではやたらにショットを細かくし、アップの多用が目につく。そうやってスピードと迫力を演出するのが当たり前になっている。テレビ以降の時代においてはそれもやむなしというべきかもしれない。でも『七人の侍』の姿勢は、むしろそれとは逆といっていい。

この作品のこの場面ではカメラは(望遠レンズをとおしてでさえ)対象に近づきすぎない。宮口精二が撃たれて死ぬ場面も、三船敏郎がお尻をこちらに向けながら討ち死にする場面もそうだ。(あらためて観ると、死んでしまう侍たち四人の殉死の場面は例外なくきわめてあっさり描かれている。死ぬ場面そのものが省かれているばあいもある。)

にもかかわらず、たたかいの凄惨さは十分すぎるほど感じられる。金や名誉や栄達と無縁であると知りながら、泥まみれで野武士とたたかう侍たちの勇気や気概、のみならず、かれらが背負わざるをえなかった悲しみみたいなものさえ感じられる。そこには、対象との距離感が確実に関係していただろう。

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