The Big Houseに行ってみた

想田和弘さんたちの映画『The Big House』の試写の翌日、ぼくも実際にThe Big House、すなわちミシガンスタジアムへ行ってみた。どういう趣旨かはよく知らないのだが、この日のフットボールゲームはチケットなしで無料で入場できるという。これはMarkさんに教えてもらった情報だった。ちなみにレギュラーシーズンのチケットはとんでもなく高いらしい。

小一時間ほど歩いてゆく。大勢のひとたちがスタジアムをめざして歩いている。大半は青地に黄色のMichiganカラーのシャツを着ている。駐車場も見渡すかぎり車で埋まっていた。

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The Big Houseはでっかい「M」印が目印である。ミシガン大学のロゴなのだ。なおこの「M」印は電光掲示板の裏側である。南と北(つまり各ゴール裏)にそれぞれひとつずつ設置されている。

いつものようにデイパックを背負っていったら、ゲートで呼び止められた。バッグはチェックを受けたうえで預けなければならないという。それでバッグチェックの場所を訊いて、預けた。昼食用にもってきたリンゴをバッグからだそうとしたら、係のおじさんに止められた。食べ物飲み物の持ち込みは一切不可だそうだ。東京ディズニーランド並みである。

無料試合ゆえ座席はどこでもいいらしい。ゴール裏の上のほうがすいていたので、適当にそこらへんに坐った。収容人数11万、全米最大のフットボールスタジアム。この日もだいぶ埋まっていたけど、それでも満員とまではいかず。紅白試合みたいなものらしいから、観客も「本気」ではない、ということだったのかもしれない。

あとから来た4人組の白人のおじさんたちが、ぼくの横を通りすぎるとき、拳をにぎってぼくのほうに突き出し、”Go Blue!”といった。Go Blueというのはミシガン大学を応援するときの合い言葉らしい。ぼくも同じようにして拳をにぎって突き返した。そうする習慣、符牒みたいなものなのかもしれないし、なんとなくぼくが怪しまれただけかもしれない。

フットボールの試合の前に、国歌斉唱がある。軍服をしたひと数名が巨大な星条旗の掲揚台の下にいて敬礼している。こういうときはどうも必ず軍人が登場することになっているらしい。

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試合が始まった。あいにくルールをよく知らない。最初のうちはなんだかさっぱりわからなかったが、見ているうちになんとなくわかってきた。

ようするに陣取りゲームなのだ。プレーごとに少しずつ相手陣内に押し込んでいき、最後はなんらかの方法でボールをゴールラインの向こう側へ運んで得点へ持ち込む、みたいなことらしい。

もうひとつ気がついたことがある。それはあんがい野球に似ているということだ。ワンプレーごとにプレーがとまる。野球もちょうど一球ごとにプレーが止まる。あれと一緒なのだ。サッカーみたいな躍動感や流動感を期待していると、ちょっと肩すかしだが、たのしむポイントはそこではないのだろう。

うしろに坐ったおじさんたち一行は、ワンプレーごとの合間に批評みたいなことをしゃべりあっていた(細かい内容はあいにくぼくにはよくわからなったけど)。ちょうど飲み屋でプロ野球のテレビ中継を観ながらああだこうだ言っている日本のおじさんとおんなじ感じだ。野球もフットボールもどちらもアメリカでもっとも人気があるスポーツだろうが、そのポイントはこのあたりにある、のかもしれない。

おもしろいのは、場内に流れる試合中継のアナウンスが、そのままテキストになって電光掲示板にも表示されることだ。米国のテレビ番組はたいてい字幕を表示させることができるが、ちょうどそれと似たような感じである。聞き取りが追いつかなかったとしても、文字でもフォローできるわけだ。それは、そのような識字状況が想定されているということでもあるだろう。

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この日はよく晴れて暖かかった。80度(華氏)と表示されていたので、摂氏26度くらいはあったのだろうか。でも湿気が少なく、日差しのわりにさわやかだった。

試合は午後1時からはじまり、3時をすぎてもまだやっていたが、ちょっと早めに退散することにした。すると同じように考えるひとたちもいるらしく、出口は早くもけっこう混んでいた。

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