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日本経済新聞

書評もうひとつ(日経)

日本経済新聞の9月6日(日)読書面にて『アトラクションの日常』の書評が掲載されました。ありがとうございました。ウェブでは公開されないのかしら。


草思社

草思社が民事再生法適用を申し立てのは1月9日(水)のことだ。ぼくが知ったのは同日の夕方だったが、業界では午後には承知されていたらしい。同社の破綻にかんしては日経新聞の取材に答えてぼくなりの解説をしており、11日付け同紙朝刊「文化往来」欄にまとまっている。

草思社は、片足の半分を人文書に残しつつ、商業性の高い出版へ踏みだし、新しい方法を開拓しようとしたパイオニアのひとつだ。俗流心理学やビジネス書っぽい内容を扱いながら、完全に実用書の世界には行かずに踏みとどまる。そうした手法を開発し、じっさい一定の商業的成功を収めていた。それまでの一般的な人文書出版社が許容しうる以上のリスクをとって、そのうえで、つねに勝ちつづける。少なくとも端目には、そのように見えた。

だから、しばしばあちこちで、営業関係者を中心に、草思社を称賛する声を耳にした。『間違いだらけのクルマ選び』『声に出して読みたい日本語』といった書名の付け方から広告の打ち方、営業の仕方にいたるまで、それまでの書籍出版社から見ればびっくりするくらい思い切った手を打つのがつねだった。その方法には、人文書はもとより、書籍をメインに扱う出版社なら大なり小なり影響を受けているはずだ。その意味で、同社の出版業界にたいする功績はけっして小さくない。

今回の破綻は直接には、本業である出版よりも副業のほうに起因するという話もチラと聞いているが、それが事実であるかどうか、ぼくにはわからない。いずれにせよ、絶妙の出版手法を開発し、多数のヒット作と独自のポジションを手に入れたかに見えた版元が、今日こうした状況に陥らざるをえなかった状況について、考えないわけにはいくまい。

草思社は複数の企業がすでに支援を表明しており、近いうちに新刊の刊行を再開できる見通しが立ちつつあるという。ぶじの再興を祈念する。


日経書評欄「今を読み解く」

日経新聞書評欄のトップに「今を読み解く」というコーナーがある。毎回ひとつのテーマに沿って複数冊を紹介するというもの。今回、「出版の現在」というようなテーマをもらい、執筆する機会を得た。そこで、ぼくなりに「流通」を軸に据えて、書いてみた。

出版流通とは、業界論的あるいは経済学的な意味だけでは捉えきれない。むしろ「贈与」や「交換」の文脈に引きつけて理解すべきだという趣旨である。クリスマスも近いことだし。根本にあるのは、出版という営為を、出版産業というただひとつのフレームで捉えるのを自明とする発想への批判だ。出版は多様な厚みと拡がりのなかから捉えなおされなければならないのだ。まあ、出版に限った話ではないのだけれど。掲載は明日16日(日)。

このコーナーの規定分量は1650字。新聞で許されるほぼ最大であるとはいえ、原稿用紙に換算すれば4枚強にすぎない。とりあげたいとリストアップした本のうち半分は諦めざるをえなかったが、それでも最初に書きあげた原稿は9枚を切ることができなかった。苦労して削るのだが、どうやっても5枚にしかならない。さらに担当の方が手を入れてくださって、なんとか規定分量に収まってくれた。

むりやり縮めたので、言葉足らず気味のところが出てしまった。これはもう仕方ない。新聞とはそういうメディアなのだと観念していたら、最後になって、逆に2行ショートになったので足してほしいということになった。それが昨晩。夜中にファクスでわずかな加筆分を送った。


日経書評

初めての新聞書評を、日本経済新聞に書かせていただいた。今日が掲載日だという。わが家では定期購読していないが、日経ならコンビニで簡単に手に入るだろう。所用のついでに近くの店に立ち寄ってみた。

期待はあっさり裏切られた。日経を置いていないのだ。一般紙といえば、朝日と読売のほかに産経があるだけ。新聞スタンドの残りの棚は、スポーツ新聞や競馬新聞など10紙ばかりで占拠されている。日経の不在もさることながら、この品揃えはいかなる思想にもとづくものか。棚をながめつつ、しばし思案に暮れてしまった。

少し歩けば別のコンビニもあるにはある。だが、時間もないし、気力も湧いてこない。その店にも日経がなかったとしたら、このあたりの新聞読者層について、いっそう悩まなければならない。空は澄んで蒼く、風は秋の涼やかさだ。そこで、もう新聞のことはすっぱりあきらめて、裏道を歩いて帰ることにした。

そんなわけで、掲載紙はいまだ目にしていない。


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