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毒ガス
夕べの雲
- Jul 11, 2009 14:46
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お台場にガンダムが完成した日の夕空である。
わが家では羽アリが大発生した。夜になって室内に灯りをつけると、どこからか大挙終結してくる。よく見ると大小二種類いる。大きいほうは何匹もが固まって黒い玉のようになって、電球の下でまるくなっている。小さいほうは、昂奮しているのか、やたらめったらうろうろしている。ほとんど『風の谷のナウシカ』の腐海だ。《あ》も《みの》もすっかり疲弊してしまった。
今朝方、アリの発生部にあたる部分の外壁に木屑がついているのを発見した。外壁は通気層をはさんで二重になっている。その通気層部分に、どうもアリさんが棲みついているようだ。黒っぽい色をしているから、シロアリではない。羽アリだ。
そこで、アリ退治の薬剤を散布した。スプレーのノズルを通気層の下端から射しこんで、プシューと吹く。すると、薬剤がだらだらと流れ出てき、少し遅れて無数の羽アリたちが苦しげに姿をあらわした。怪しい箇所にはすべてスプレーを吹く。室内側からも、壁板の隙間にノズルをつっこんで、ひと吹き。しばらく時間をおいてから見にいくと、おびただしい数の羽アリの死骸がころがっていた。
部屋は静かになった。安寧がもどってきたといえば、たしかにそうだ。同時にその静けさには、なんとも後味のよくないものがへばりついている。毒ガス兵器をつかった兵士は、きっとこんな気持ちになるのではないか。もっとも、そんな類の気持ちの生起する余地を抹消するべく人間を機械化してしまうのが、現代の軍隊教育なのかもしれない。いや、なにも軍隊に限った話ではないのだが。
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まぜるな危険
またも喘息の発作に襲われた。
夜、布団に入ったら急に咳が出はじめた。ひとつ咳をするたびにひどくなる。すぐに気管支が腫れて、空気が入って来なくなった。苦しくて、とても横になどなっていられない。ゴリラのような恰好で両手を床につき、深呼吸をする。薬を飲んで二時間くらいそうしていたら、徐々に呼吸がしやすくなってきた。
今回の発作は、いつもの喘息ではない。原因は、たぶん塩素ガスだ。
昼間、浴室でカビ取りの作業のひとが来てくれた。薬剤を希釈して塗布し、たわしでごしごしこする。横で見物していたのだが、まもなく目がしょぼしょぼししてきた。喉も痛みだす。あわてて窓を開けて換気扇をまわした。そして作業を続けた。あまつさえ、作業の手伝いもした。
そのときはそれだけで済んだ。だが喘息発作がおきてしまったあと、どうやらこれが塩素ガスだったのではないかと思い至った。
作業に用いられた薬は、カビ取り用としみ抜き用の二種類。最初にカビ取り用をバケツにあけて希釈し、それがなくなってから同じバケツにしみ抜き用を入れてつかった。どちらも業務用の強力なものだという。調べてみたら、前者が酸素系、後者が塩素系で、二つを混合して使用すると猛毒の塩素ガスを発生するとして注意書きがしてあるのだった。よく告知している「まぜるな危険」というやつである。
こちらの注意がまったく足りなかった。市販の漂白剤で上のような危険があるのは知っていたが、それが壁のカビ取りの薬剤でも同様だとまで想像がおよばなかったし、プロの作業ということも、市販品の告知と結びつける発想を妨げていた。作業のひとは慣れているので対処法をよく心得ているのかもしれないが、素人がのほほんと見物している危険性をよく考えるべきだったのだ。じぶんの間抜けさにあきれるばかりである。
塩素ガスは1915年、第一次世界大戦下の欧州で、最初の毒ガス兵器として使用された。吸入すると、脱力感、胸部圧迫感、咳、咽頭痛、頭痛、息苦しさ、血咳、窒息、チアノーゼ、低血圧、めまい等を生じる。一定以上の濃度を吸入したばあい、30分から数分以内に死亡することもあるのだそうだ。
うーん、まじでヤバかった。
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