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角田房子
映画『樺太1945年夏 氷雪の門』
- Aug 1, 2010 11:00
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太平洋戦争の末期、というより、日本のポツダム宣言受諾後も継続した日ソ戦の主戦場のひとつ、樺太のたたかい。8月15日をすぎてもソ連軍は南下をつづけた。樺太南部西海岸にあった真岡では、ソ連艦隊による艦砲射撃がくわえられ、さらにソ連軍が上陸し、町中が混乱に陥った。真岡郵便電信局で電話交換業務をおこなっていた女性(10代から20代)9名は逃げ場をなくし、捕虜となることを怖れ、ついには自決を余儀なくされた。その史実を題材に撮られた作品だ。1974年に完成しながら、当時のソ連の圧力によってお蔵入りになっていたという。
物語は、いってみれば「ひめゆりの塔」の北方版である。
沖縄戦を舞台にした「ひめゆりの塔」の史実は(善し悪しはともかく)戦後民主主義的な「反戦」の象徴としての物語と位置づけられ、くりかえし映画化されてきた。対照的に、おなじくうら若い「乙女」たちが無情にも戦火のなかでみずから命を絶たざるをえなかった真岡郵便電信局事件のほうは、必ずしもひろく知られてはこなかった。それを踏まえたうえで、もうひとつの「ひめゆりの塔」として受容されることを期待したつくりが、本作品には与えられている。
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フレキャン
「フレキャン」に行ってきた。「フレキャン」とはフレッシャーズキャンプ、つまり新歓合宿の略である。
本務校ではどの学科も、このフレキャンをこの時期におこなう習わしらしい。芸術学科のばあい、一年生と専任教員全員でバスに分乗して、一泊二日かけていくつかのミュージアムをめぐる。今年は鎌倉から箱根へかけてくり出した。フレキャンの目的は相互に親睦を深めることにあるという。実際、こういう機会でもないと、入学したての一年生にとって、じぶんのほうから直接教員に話しかけるようなことはしにくいのかもしれない。今回も何人もの一年生と話ができ、有意義だった。
この大人数の旅行を実質的に仕切るのは、ふだんから学科共同研究室の面倒を見てくださっている教学補佐のひとたちだ。これをSC(なんの略だかよく知らない)とよばれる上級生10名がサポートする。ぼくたち教員の多くは、引率者というより、やはり連れていってもらっているというほうが近いともいえる。だとしたら、一年生と似たようなものだ。
このフレキャン、ぼくにとっては一年のうちただ一度、観光バスというものに乗車する機会でもある。じぶんで一切企画や旅行のマネジメントにかかわっていないので、ただ組まれた旅程にしたがって、バスの座席に坐り、目的地についたら見学して、またバスに乗る、というくり返しだ。
車中ではなんにもしない。たいていはボーッと車窓をながめている。見学が終わってバスが発車するまでの待ち時間には、本を読む。専門書よりも、ノンフィクションとかエッセイがいい。昨年は、たまたま直前に古本で見つけた角田房子『アマゾンの歌』を読んだ。今年は、ちょうど前日に届いたばかりの庄野潤三『ワシントンのうた』をたずさえていった。「──の歌」という本がつづくのは、ただの偶然。それでも無意識のうちに、ちょっと渋めの線で本を選んでいるようだ。なぜだろう?
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