大晦日

年の瀬。書くべき年賀状の束をかかえて、青森の青荷温泉へ行ってきた。「ランプの宿」として知られるところだ。新幹線、特急、ディーゼルカー、路線バス、宿の送迎バスと乗り継いで、片道約9時間の旅である。

積雪は20cmほどだったろうか。例年なら壁のように積もっているのだそうだ。それでも子どもたちは雪合戦ができ、満足そうだった。

宿は谷間にあるから、ただでさえ短い冬の日はいっそう早く暮れる。日のあるうちこそ年賀状書きに精をだしたものの、日没後はランプの明かりだけが頼りだ(新館のトイレなど、ごく一部は電灯がつく)。電気照明に慣れきった身体には、これが信じられないくらい暗い。年賀状書きもできず、本も読めず、むろんテレビもないから、することはおのずと限られてくる。ランプの明かりの下で温泉につかり、茸づくしと岩魚の食事をいただいたら(よくある懐石風旅館料理よりずっとよかった)、あとは寝るだけ。午後7時半には一家して眠っていた。

二日目から雪が降りはじめた。元旦まで降りつづくそうですよという宿のひとの話を聞きながら、帰りのバスに乗りこんだ。新幹線はやて号が東京に着くと、《なな》が言った。「あーあ、やっぱり東京は雪がないのかあ」。

このブログを始めて11カ月たった。日記ではなく、エッセイや批評のための覚書などを書き留めておく場のつもり。テーマはよろず取扱を掲げているとはいえ、実際にはじぶんなりに基準を決めて、ここで書くべきテーマをあるていど限定している。一本のエントリーが1-2時間で書けてしまうときもあれば、三週間かかってしまうときもある。書きかけたもののけっきょく掲載しなかったことも数回ではない。職業的な物書きの目から見れば、費用対効果の悪いことおびただしいというところかもしれないが(実際そうだ)、いまのぼくにとっては、これがなかなかよいトレーニングになっているような気がする。さしあたり、週一回のペースで更新していくことを目標にしたい。

お読みくださったみなさま、ありがとうございました。来年もまた、ぼちぼちと書き継いでいきたいとおもいます。どうぞよいお年を。

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