天才くん初体験

ジーニアスバーとはアップルストア(リアル店舗)にある対面式修理相談窓口のこと。今回初めてお世話になった。わがPowerBookがとうとう不調となったためである。

PBは昨秋 Leopard にアップグレードし、その後順次バージョンをあげて、10.5.4で運用していた。ただときどき挙動が微妙におかしくなるのと、6月に一度、授業後にPBの片付けをしているところに学生が相談にやってきて、話を聞いているうちにうっかり教卓から落下(!)させてしまったことがある。その瞬間にはもう全壊を覚悟した。だが、さいわいラッチを閉じた状態で、しかも信じがたいことにほぼ水平に落下したおかげか、外装にも液晶にもドライブにもなんの障害も生じなかった(どうみても奇跡である)。

その後、既報のとおりiMacを導入したので、すべてのデータはこちらに移した。PBは当面モバイル用にしてつかうことにし、まずはHDDをフォーマットしなおしてOSも入れなおそう。そう考えたのである。

ところが、OSの再インストールがうまくゆかない。何度やっても、だめなのだ。

1回目。インストール完了後、ソフトウエアアップデート経由でアップグレード。しかし再起動せず。

2回目。Leopardインストールが完了せず。再起動するもグレーと黒の画面が交互にあらわれ、カーソルは断続的に虹色に。電源ボタン長押しして終了後、再起動するも症状変わらず。PRAMクリアするも症状変わらず。

3回目。Leopardインストール完了するも、再起動した画面にはホームフォルダ直下になんのフォルダも存在しない。Dockに「?」印が4-5個並ぶ。ホームフォルダ直下に新規フォルダ作成をしようとするも、受けつけず。電源ボタン長押しで終了後、再起動するも症状変わらず。PRAMクリアするも症状変わらず。アクセス権修復をしてみるが変化なし。AirMacに接続はできるので、ソフトウエアアップデートはかけずにアップルのサイトから10.5.4comboをダウンロードしようとするが、Safari起動せず。

4回目。Leopardインストール完了。再起動後、デスクトップのHDアイコンをダブルクリックするが開かず虹色カーソルのまま。メニューバーも消える。AirMacには接続している。ソフトエアアップデートはかけず、アップルのサイトから10.5.4comboをダウンロードして当てる。再起動するも症状変わらず。やはりアイコンはダブルクリックでも開かず虹色カーソルのまま。メニューバーも消えてしまう。

ここで自力での復旧を諦め、ジーニアスバーに予約を入れた。

さて当日。事情を説明し、上述の状況のままのPBを見せる。担当者は「問題を切り分けるために、OSをこちらで再インストールさせていただきます」という。最初はディスクユーティリティでディスクの検証。HDDに異常なし。ジーニアスバー用のHDDからOS (10.5.4) をインストール。しばらく時間がかかるというので、いったんPBをあずけ、40分ばかりのちに再訪。あれあれ、PB上で10.5.4が動いている。ジーニアスバーのインストールなら動くのだ。ありがたい、さすが「天才」。

とりあえずPBにぶじにOSも入ったことだし、しばらくこれでようすを見てもらうのがよいのではないか。担当者は、はっきりそう口に出すわけではないが、まあ、そういうニュアンスのことをいう。それはそのとおりである。だがちょっと待て。これじゃ対処療法で一時的に復旧しただけではないか。

これでは「不安」はなんにも解消されていない。不調だといってパソコンをもちこむ顧客がいちばん願うのは、何度もやってもうまくいかなかったその原因を知ることである。少なくとも、どういう方向に向かえばよいのか示唆を得ることである。でないと、このあと何か不具合が生じたさいに(いずれ生じるに決まっている)また同じことをくりかえすしかない。

しかし、担当者はぼくの質問に最小限のことしか答えてくれない。それは検証してみないとわからない。検証のためには一週間あずかることになる。そう答えるばかり。まるで昔のお医者さんみたいだ。担当者の立場を考えればそういうしかないのはわかる。わかるのだが、しかし、こちらの「不安」はまるで取り除かれないままだ。きちんとこちらの話を聞き、しっかり言葉で説明する。そういう姿勢も大切なのではあるまいか。

集中講義が迫っていることもあり、今日のところは先方の言葉にしたがって、OSX Leopard 10.5.4を入れてもらったPBをもって、すごすごと帰宅することにした。

今回ジーニアスバーを初利用してみての印象。とりあえず動くように対処してくださった。たいへん感謝している。接客対応は慇懃。けれどあるところで透明な壁によって仕切られ、そこから先には踏み込ませない京都の老舗みたい。担当者のタイプによるのかもしれないのだけれど。でも、「天才」を自称するなら、やるべきことはまだあるはず。

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