国際デジタルストーリーテリング会議

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いまリスボンにいる。乾期のはずなのだが、外は季節はずれの雨が降っている。リスボンへ戻ってきたのは昨日だ。それまでは、オビドスという街に滞在し、国際デジタルストーリーテリング会議という集まりに、友人と参加していた。西欧圏以外からの参加者は、ぼくたち二人だけだった。

オビドスは、城壁に囲まれた古い街だ。予備知識は『地球の歩き方』程度しかもっていなかった。行ってみておどろいた。じつにうつくしい街である。むろん観光地化してはいる。だが、俗っぽくはない。赤い瓦に白く塗られた壁。はっきりした色の花が咲く。迷路のような市街を抜けると、教会があり、地元の子どもたちが先生から何か講義をうけいたりする。

子どもたちがこの街を題材にしたデジタルストーリーテリング作品をつくるプロジェクトもあったようだ。会議の終盤、どやどやと大勢の子どもたちが会場へやってきたとおもったら、優秀作品の表彰がはじまった。名前をよばれた子どもたちは壇上へあがり、賞品の入った紙袋をもらうと、30年前のフリオ・イグレシアスみたいな若い市長から祝福をうける。子どもたちにとって、市長のキスはあまり歓迎すべきことではないようで、身をよじって困惑しているのが、おかしかった。

かえりがけ、サッカーボールをかかえた少年が、茶とらの猫にボールをぶつけようと試みていた。猫はわが身の危険を察知し、これ以上はありえないほどの瞬発力で猛然とダッシュして逃げる。少年はそれを追う。ぼくたちに向かって、こっち? という顔をして訊く。みつかったと悟ると、猫はまた逃げる。あんなに必死に走る猫をみるのは初めてだ、と友人は笑っていた。

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