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2013玄海・長崎のアーカイブ

玄海エネルギーパーク 2/2

玄海の原発PR施設に隣接する「九州ふるさと館」。その趣旨は「地域」との連続性をあたかも「自然」なものであるかのごとく提示するところにあるとおもわれた。

そこには九州各地の「お祭り」をはじめとする伝統的な習俗や工芸品の展示がなされていた。それらにつかわれる幟や太鼓や山車といった道具類が展示してあり、衣装をまとった人形がおかれ、音声や映像が流れている。それらはすべて機械による再生だ。生身の人間は(警備員をのぞいて)まったくいない。

ぼくたちが入館するや、(センサーによって感知するのだろうか)楕円形の巨大な空間に、お祭りのにぎやかしい音声が流れはじめる。それら再生音源・映像によって満たされるわけだが、当然そこには「祭」につきものの「熱気」は一切ない。がらんとした閉鎖空間のなかに、にぎやかな映像や音声が響くばかりである。

結果的にこの展示は、その意図とはちょうど完全に裏腹に、原発がその立地する地域となんら無関係な「異形」の存在であることを如実に浮かびあがらせていた。

別棟にある訓練センターを見学できるという。そちらにも行ってみた。

見学所の左右にそれぞれ中央制御室のシミュレーターがつくられている。1, 2号機と、3, 4号機で異なっているため、それぞれにあわせたシミュレーターが用意されているという。向かって左手(3, 4号機)のシミュレーターでちょうど訓練中であった。

大飯の「エルガイア」にも同種の施設が併設されていたが、撮影は「テロ対策」を口実に厳禁されていた。いっぽう玄海ではまったく問題にされていないようだった。訓練中の風景を写真に撮る。

さらに、巨大な機械類の操作を訓練するための施設も併設されていた。そちらも見学できる。燃料棒をとりだして冷却プールへ移すためのクレーンの練習機などを見た。

あとでゼミ生に感想を訊ねてみた。ひとりの学生は、ちょっと考えてから、なんとなく「そうかもしれない」という気がしてきてしまう、と言っていた。

玄海エネルギーパークの年間来場者数は10万人ほど。年々減少傾向にあるという。

この項おわり。

玄海エネルギーパーク 1/2

3月中旬、玄海エネルギーパークに行ってきた。九州電力玄海原子力発電所に併設された原発PR施設である。ゼミの打上げで九州へ旅行したさいに訪問したものだ。企画したゼミ生たちが気を利かせてくれたようだった。

ぼくたち一行が到着するやいなや、制服に身を固めたおねえさんが登場して、ガイドをつけますか? と声をかけてきた。団体ゆえなのか若者多数だったゆえなのか、理由はわからない。ちなみに事前連絡はしていない。はっきりしているのは、ぼくがひとりで出かけたときには、けっしてありえない対応だったということだ。経験的にいえば、おっさんひとりで訪問したばあい、最初に出てくるのは、むしろ警備員である。

円筒形の建物の外壁に沿いを、順路は螺旋状に上るようにして付けられている。つくりだけ見れば、ニューヨークのグッゲンハイム美術館みたいな、といえなくもない。中央に鎮座しているのは、実物大の原子炉の模型である。川内にも実物大模型がおかれていたが、「実物大」が九電の方針なのだろうか。

ガイドをしてくれた案内嬢が強調していたのは、原発は「丈夫」で「安全」であるということだった。ゲーム機仕立てで、耐震性を体感できる装置もあった。

九電の原子炉が、「東京電力さん」の沸騰水型ではなく加圧水型軽水炉であるという点も、さりげなく強調されるべきポイントらしかった。けっして直接に言葉にされることはないが、「東京電力さん」とのちがいを強調することをとおして、九電の原発は「大丈夫」「安全」という印象を来訪者が(半ば勝手に)いだくことを期待しているような、操作的な志向を包蔵した言明であるようにおもわれた。それは、当該案内嬢の個人的な表現技法の問題という水準の話ではあるまい。

案内嬢がどこをどのように説明してくれるのはもちろん、どのコーナーをパスするかという点も、なかなか興味深いものがあった。

いくつかの展示で説明をしたあと、最上階の展望室へ辿りついた。眼下に玄海原発の原子炉建屋やタービン建屋が見えた。手前には、廃熱利用の温室が見えた。遠くには玄界灘の島々が浮かんでいた。右手に大きく壱岐の島影が見えた。目と鼻の先、といった距離感であった。以前に一度だけ壱岐に行ったことがある。あれは何年前だったかとぼんやり考えた。

ひととおり説明してもらって45分コースであった。最後は隣接する「九州ふるさと館」なるものの入口で解散となる。

この館はじつに奇妙かつ異様な印象を与えるものであった。

その2へつづく。

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