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石井桃子
映画『トイ・ストーリー3』
- Jul 21, 2010 11:49
- 映画を観る
「トイ・ストーリー」シリーズの最終回(?)の主題は、成長と別離だ。
子どもから大人になること。そこで不可避に生じる別離をめぐる葛藤。それを巣立つ側と見送る側とがそれぞれのやり方で受け容れ、乗り越えてゆくこと。成長と別離はアメリカの現代文学がくりかえし描いてきた主題であり、ハリウッドでも若者向け作品を中心にやはり同様に反復されてきた。この主題にピクサーがどう挑戦するかが、本作品の見どころである。
結論を喩えていえば、一勝一敗といったところか。まず一勝のほうから。
主人公の人形は、大学入学を控えるまでに成長した持主の少年と、いよいよ別離を覚悟しなければならない時期をむかえることになった、という設定から物語が始まる。わかれたくない、一緒にいたい、という気持ちと、しかしそこにはじぶんたちの居場所はないという現実とのあいだで、少年も、おもちゃたちも、それぞれが烈しく揺れ動く。おもちゃと子どもとは、もとより棲む世界が異なっている。おもちゃはいつまでもおもちゃであるが、子どもはやがて大人になる。両者の蜜月はいつか終わる。それをそれぞれの仕方で受け容れることが、つぎのステップへつながる。
その意味でこの作品は、ウィニー・ザ・プーの変奏、もしくはリベンジである。
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「ユリイカ」石井桃子特集ほか
- Jul 16, 2007 09:17
- メディア論的に考える | 執筆以外の活動など | 書物と出版

「ユリイカ」7月号は石井桃子さんの100歳記念特集だ。
石井さんは1907年生まれというから、レヴィ=ストロースより1歳年長ということになる。ふつうにいえば児童文学者という位置づけになるだろう。同号のアンケートに回答したように、ぼくにしてみれば、むしろそうした狭苦しいレッテルを貼る行為がほとんど無意味に感じられるような、その軽々とした身のこなし方に目を惹かれる。日本語による児童文学という領域がまだその形をはっきり定めることができていなかった時期から、翻訳者、編集者、出版者、創作者、実践者と、そのときどきに必要と考える仕事につぎつぎと取り組み、そのいずれにおいても類い稀な成果を残してきた。その積み重ねは確実に、今日の日本語による文学・出版世界の基礎をなしている。まさに100年の森づくり、なのだ。
同じ時期に、2冊の冊子が送られてきた。いずれも一橋大学大学院言語社会研究科の発行した紀要である。ひとつは教員が中心となった通常の紀要『言語社会』であり、もうひとつは『ren』と題されたその別冊で、こちらは院生が中心となって企画・編集したものだという。後者の立ち上げ時に一度よばれて話をしたことがある関係で、短いエッセイを寄稿している。
大学においてこうした試みを実行するのは、さまざまな困難がともなうものだが、かかわる院生の側にモチベーションがあれば、それ以上に多様な学びの機会になりうるはずである。そのためには、教員からの適切なファシリテーションと大学によるサポートが不可欠だ。今後の展開に期待したい。
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