雑誌『ユリイカ』9月号に寄稿

雑誌『ユリイカ』9月号は特集「理想の教科書」。ぼくも一本寄稿させていただいた。題して「なにかについて知りたかったら本を書けばいい」。じつはこのフレーズ、池澤夏樹さんの文章を読んでいて知ったものなのだが、ある種の真実を突いているとおもう。教科書でいちばん勉強になるのは、それを使用する学生ではなくて、執筆した著者だからだ。

これを組み込んだ授業をデザインできないかと、ここ数年、ひとりでポケット・プロジェクトをすすめてきた。授業のなか受講者が本をつくり、その過程をつうじて学んでいく、という試みだ(余談。ぼくの授業では、受講者はただ話を聞くだけでなく、みずから参加しなければ成立しないようなワークショップ・スタイルでおこなうことが多い。授業テーマにもよるけど)。挫折と失敗をくり返しながら、少しずつ形になりつつある。これが、「教材」という意味での教科書の概念にどんな揺さぶりをかけうるものなのかどうか、そんなことを書いてみたいと考えていた。だから『ユリイカ』の編集の方から今回の特集について連絡をうけたのは、ちょうどよいタイミングで、その機会を与えてもらえたことになる。機会があれば、ご一読いただければさいわいです。