アップルからバッテリが届いた。PowerBook用のバッテリ(ソニー製だそうだ)に発火の怖れがあるとかで、リコールになったためだ。交換の申し込みをしたのが8月末だったろうか。三週間ほどで到着したことになる。当初の見込みよりは早かった。
バッテリ交換はじつは二度目である。一度目はいまのPowerBookを購入した昨秋のこと。買って一カ月後もたたないというのに、なぜだか満充電しても20分しかもたなくなってしまったのだ。アップルのサイトのディスカッションボードを見ると同様の症状のひとがいるらしかった。すぐにサポートに電話した。原因を訊ねてもはっきりしたことは教えてくれなかったが、とにかく即交換ということになった。交換したら、あとはバッテリはいたって好調だったのだが、そこに今回のリコール騒ぎでもう一度交換となったわけだ。
今回交換を申し込んだとき、こんな注意をされた。新しいバッテリが到着するまでに4-6週間かかるが、その間バッテリを使用してはならぬ──。メーカー側の論理としては、交換バッテリが届くまでに発火されて責任問題になっては困るということだろう。理屈はぼくにもわかる。じっさい発火でもしようものなら、ぼく自身もまわりも、たしかに困る。
だが、こうした指示はまったくもって現実的ではない。PowerBookは、たとえばぼくのばあい、いわばもっとも重要な「商売道具」だ。授業も原稿も発表も、なにもかもが、これなしにすすめられない。予備機をもっていれば一時的に切り替えることもできるかもしれない。だが、それをユーザに強制したり前提したりするのはおかしな話だ。この三週間、電源がとれる状況のときはできるだけバッテリをはずして使用しようと心がけたが、完全にバッテリをつかわずに済ますことはできなかった。
ノートパソコンにおいてバッテリをつかうなという指示の非現実性を、アップルが気づかなかったわけでは、むろんないだろう。にもかかわらず、そのような指示を出したのは、いったいなぜか? まさか、メーカーとしては指示は出したから、あとはなにがあってもユーザの責任ですよ、という態度ではないだろうに。