コペンハーゲンに来ている。三泊目の夜だ。かかわっている研究プロジェクトがコペンハーゲン大学でセミナーとワークショップを開いたためである。
コペンハーゲン大学のすぐ隣にITユニバーシティがある。デンマークでいちばん小さな大学なのだそうだ。セミナーの終わったあと見学に連れていってもらった。内部に入ってびっくり、ぼくが非常勤で教えに行っている公立はこだて未来大学そっくりの空間構成である(上写真)。山本理顕さんも顔負けといったところだ。IT技術を活かして、教育・研究にアートとビジネスをくわえた地域のインキュベーションセンターの役割ももっており、かなり成功しているという。岐阜の IAMAS などが本来めざしていたような方向だろう。北欧内部では国境を越えて活発に協働し、アメリカやアジアに対抗しつつ連携する。北欧という地域のおもしろさは、地政学的に見ても興味深いものがある。
大学もそうだが、街全体に、デザイン精神が息づいている。格好をつけるためのものというより、日常生活を構成する重要な要素のひとつであるようだ。建物や街路はもちろん、サインシステム、把手、窓枠、デスク、椅子、棚からさまざまな小物類まで、よく考えられたデザインが施されている。上の写真は地下鉄の入口を示す標識。ごらんのとおり、夕闇に映えてたたずんでいる。滞在しているホテルは街の中心部にあるが、このあたり、街角でも清掃が行き届いている。反面、徹底して管理された空間であることも強く印象づけられる。