ゼミ合宿

コスプレサミットに引きつづいてゼミ合宿。名古屋から名鉄と東海道線、伊東線、伊豆急線と乗り継いで伊豆高原へ。ここでWCS取材の名古屋組以外のゼミ生と合流した。わざわざ名鉄に乗ったのは、制服がかわいいという噂を聞きつけたゼミ生の発案である。噂どおりなのかどうかはわからないが、女性駅員の夏服がチョーかわいかった! のだそうだ。

ペンションを借りきって、2泊3日のゼミ合宿。主眼は、卒論のテーマと目次案を固めること。ひとり20分ほど発表したあと、ディスカッション。だいたい1時間くらいかかるから、全員終わるころにはみっちり12時間かかる勘定だ。

テーマは、じぶんでいうのもなんだが、じつに多彩である。コスプレ、同人活動、BL、アニソンといったあたりはもとより、伊集院光やナンシー関などのアーティスト論、書体デザイン、新々宗教のメディア戦略、子どもの遊び、ディスニーランド論。「郊外」における犬を飼うことのイメージの変遷、というのまである。その学生にとって大切な事柄をテーマに選ぶことを尊重しているので、みんなテーマに入れ込みまくっている。ひとつひとつの発表が濃い。

発表を聞くとき、かつて水越先生がそうしてくださったのに倣って、憑依するイタコのように、その子にシンクロさせながら話を聞く。かれらが言葉で表現できることが関心事そのものであるとは限らないからだ。言葉にならない声を、語られる言葉の背後に探らなければならない。これを12回くりかえす。しまいには、もう何もかも吸いとられたような状態になる。

さいわい予定から大きく遅れることなく、2日目の夕方までには全員の目鼻がつくところまでたどり着くことができた。その晩は夕食後に花火をした。音のでない花火でなければならないというので、線香花火のようなものばかり。ペンションのある森の一角にもうもうと煙がたちこめる。何事かと顔をだした猫が、あわてて側溝へ飛び込んで走り去っていった。