函館のパノラマ

集中講義は今日が三日目。今年もデジタル・ストーリーテリングをやっている。

当然いろいろな学生がいるわけだが、全体としての雰囲気というものは確実にある。年によって少しずつ違うが、今年は全体に素朴でまじめ、といった印象だ。明日が発表だから、明朝までには作品を仕上げて提出可能な状態までもっていかなければならない。今晩が山場である。いまごろ必死に作業しているであろうし、そうであってほしい。

ところで、昨日(二日目)は企画検討会だった。授業の終業時間がすぎても終わらず、一時間ばかり居残り組の話を聞くことになった。ひとりの学生が、自転車で大学の近辺を走りまわったときの話をしてくれた。公立はこだて未来大学は、函館山と正対する山の中腹にあるのだが、その奥へゆくと、さらに展望のひらけた場所があるという。

その風景を見てみようと、遠まわりして帰ることにした。何度か下り、何度か登る。最後の坂を登りきると、急に視界がひらける。その先は一面の畑だった。

畑は海にむかってゆるやかにくだっており、函館湾と接する手前に街が帯状にひろがっている。真正面の奧に函館山、右手に松前半島。その山々の稜線に、夕陽が沈もうとしていた。

一直線に刻まれた道が、地形のパノラマを切り裂いている。その上を、ランクルでゆっくりとすべり下りていった。

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