今年も薪ストーヴの季節が到来した。
昨シーズン終了後に、灰を搔きだして、庫内は掃除ずみ。天板に出ていた錆も、秋にディスクグラインダーで削り落とし、耐熱ブラックを吹いてある。用意はだいぶ前から万端であった。
今日は初焚きという日、昼間のうちに、薪ラックや火かき棒などを、納戸からとりだした。
夕方には、いそいそと薪小屋から薪を運びいれる。薪は、近くの農家からいただいた梨を、うちで割って乾燥させておいたものだ。
庫内に薪を何本か入れ、適当に組む。細めの枝を下に、太めの薪を上に、そして空気がとおりやすいように隙間をあけて組むのがコツ。
あらかじめ新聞新などを丸めて突っこんでおく。これが焚きつけ。ここに火をつける。ぼくは古典的にマッチをつかっている。
着火すると、焚きつけから細い枝へ、それから太い薪へと、徐々に火がうつってゆく。
火が安定したら扉を閉め、ようすを見ながら、空気を絞ってゆく。
あとはときどき薪を追加してやればいい。
手間はかかるし、着火してから部屋が暖まるまで少し時間がかかる。その代わり、ひろい空間を暖房することができるし、天板は料理につかえる。
なにより、火をながめていられるのがいい。
時間は二種類ある。つねに一定のテンポで流れつづける天文学的な時間と、伸びたり縮んだりする可変的な時間と。そのことを、薪ストーヴはあらためて教えてくれるのだ。