卒業式とマッサージクッション

今年の卒業式はたまたまぼくの誕生日でもあった。卒業式の開催時期は毎年固定されているので、結果的に二年に一度くらいの割合で誕生日と重なるのだ。

当然、学生たちの卒業祝いのほうが優先される。いまさら誕生日を祝うような歳でもないので、それでぜんぜんかまわない。これまで面倒をみてきた学生たちが、なんだかんだありながらも、こうしてぶじに卒業を迎えられる場に立ち会えることは、やっぱりうれしいものだ。

学生たちの気質や雰囲気は学年ごとにちがうのだけれど、少なくともぼくのまわりの学生にかんしていえば、当人たちなりの仕方で総じてとても素直かつ真摯な学生時代を送っている点は共通している。

みんな仲がよい。馴れ合いではなく、たがいに支えあいながら高めあってゆくことができるような間柄を、それなりに築くことができている。当人たちがどこまで気づいているかわからないけれど、そんな関係はそう容易に構築できるものではない。誰がなんといおうと、かれら彼女らは立派だとおもうのだ。

——なんてことを今年もぼんやり考えていたところ、祝ってもらう立場であるはずのゼミ生たちから、逆にプレゼントをもらってしまった。

マッサージクッションなるものだった。カバーにわざわざロゴが手縫いされている。お手間いりである。

カバーの下の中央の白いところにローラーみたいなものが内蔵されている。スイッチをおすと、それがウニウニと動いてマッサージしてくれるというものらしい。

なんとばっちりなタイミングだことか。じつは前日の夜行便で帰国した直後であり、そのせいか当日は肩が痛くて首がまわらないような状態だったのだ(いまも)。ゼミ生たちが知っていたわけではないはずだけど。

帰宅して試そうとしたら、どういうわけか《なな》や《くんくん》が尋常ならざる勢いで興味を示し、いつのまにか勝手に充電して、勝手にじぶんたちで試していた。ぼくがつかうことができたのは、かれらが寝たあとだった。

腰や背中にクッションをあてて、スイッチを入れる。ウニウニウニ。なかなかによく効いた。

卒業おめでとう。そしてありがとう。