新しい著書が刊行される。『アトラクションの日常──踊る機械と身体』(河出書房新社)である。
わたしたちの日常生活の各所には、いまや無数の〈アトラクション〉が繁茂している。〈アトラクション〉とは、機械と身体がふるまいを媒介にして縫合されることによってつくりだされるシステムのことだ。わたしたちはふだんそれと意識することなく、そうした〈アトラクション〉にみずからはまり込んでゆく。そこは無時間的な「ユートピア」である。ちょうど東京ディズニーリゾートのように。
この〈アトラクション〉という概念を手がかりに、現代の日常生活のさまざまな現場──たとえば車窓、ターミナル駅、流れるプール、スーパーやコンビニ、郊外の住宅地、そして東京ディズニーランド──を分析する。そこに見られる身体を読み解くにあたり、乗物、絵本、ミュージカル、そして映画が参照されることになる。
昨秋からこの春までかかって書きあげた。『思想』に寄稿した論文と重なって、もうこの春は精も根も尽き果てた。が、それで終わったのではない。ゲラと格闘し、図版を集め、レイアウトにいたるまで心を配った。よい編集者とデザイナーに恵まれたこともあり、いまぼくが書くべきテーマを、いまのぼくの力でできるかぎり探求し、それにもっともふさわしい形を与えられて、できあがったのが本書だといえる。ぶじに刊行をむかえて、心からうれしい。
発売は七夕。どうかよろしくお願いします。