青森のフェリーターミナルにいる。これからフェリーで函館にわたる。昨年につづき函館で集中講義をしなければならない。今年はランクルで東北道を北上してきた。
秘密兵器は、クルーズコントロール。任意の速度に設定すれば、自動でその速度を保って走行してくれる装置だ。これまでぼくは、うまくつかえたためしがなかったのだが、今回は有効だった。しかし、便利なだけに、つかい方をよくわきまえないと危険である。
道中ずっとNHK-FMラジオを聴いていた。9.11から5年目だが、なぜかNHK-FMはどの番組も懐かしの歌謡曲やフォークソングのオンパレード。南沙織・天地真理から五つの赤い風船からクレイジー・キャッツまで、まあたのしかったけれど、不思議な気持ちがした。
途中、雨が激しくなった。ラジオの音量をオフにすると、雨粒がクルマのボディをたたく音につつまれた。そういえば、雷鳴を録音したカセットをカーステレオで聴きながら、雷雨の東北道を北上したというエッセイが、片岡義男にあった。あれはどのエッセイ集だったか。
青森港に月が浮かんでいる。まもなくフェリーに乗りこむ。