庭の紅玉に今年はたくさん実がなった。数えたわけではないが、花の終わった段階で、20個以上あっただろうか。
まずまず順調に成長していたが、7月あたりから、ぽつりぽつりと落果が見られるようになった。残念だが仕方ない。袋がけはおろか、防除も摘果もなんにもしていない。しかも栽培適地とはいいにくい気候条件である。
落ちた果実をみると、鳥につつかれたり虫がついたりして損傷していた。片隅の小さな畑に投げておいた。
ところが、最近少しようすが変わった。芝生の上に落ちた林檎をひろってみると、形は少々いびつとはいえ、傷も虫もついていない。大きさも手頃で、ほんのり赤みも帯びている。
これなら食べられるかもしれない。
その晩、皮を剝いて切ってみた。口に入れる。ややさっぱりめ、でも、ちゃんと紅玉の味がする。
以来、庭に落ちた紅玉は、傷がひどくないかぎり、拾って食べることにした。