エッセイ

エッセイ

聖地巡礼

山下達郎コンサートに行ってきた。コンサートがあれば必ず行くと決めており、じじつこの30年近く、そうしてきた。今回もおなじ。聖地巡礼みたいなものだ。この日ばかりは《あ》と一緒である。 6年ぶりのツアー。直接のきっかけは、大阪フェスティバ...
エッセイ

格差と分断

「格差」という嫌な言葉をめぐる昨今の言説で、もっともマズイとおもうのは、非正規雇用と正規雇用という二項対立の図式をみずからつくって、前者が後者を、あるいは後者が前者を叩くことだ。 最初のケースは「被害者」意識によって、あとのケースは現...
エッセイ

まぜるな危険

またも喘息の発作に襲われた。 夜、布団に入ったら急に咳が出はじめた。ひとつ咳をするたびにひどくなる。すぐに気管支が腫れて、空気が入って来なくなった。苦しくて、とても横になどなっていられない。ゴリラのような恰好で両手を床につき、深呼吸を...
生活の風景

《てんてん》の災難

階下がなにやら騒がしい。訊けば、猫の《てんてん》が走りまわっているという。 ものすごい勢いで部屋から部屋へと駆け抜けいき、たちまち戻ってくる。壁に頭をぶつけてもかまわない。ときどき彼女はそんなふうに暴れん坊と化して、うちのなか...
生活の風景

自前どんど焼き

うちの暖房は薪ストーヴ頼みだ。11月末から4月あたままで焚いている。これ1台で、うちじゅうが暖まる。ほんとは1階の土間あたりに設置すれば全体に暖気がまわるのだろうが、わが家は生活の中心が2階にあるので、ここに置いている。 この...
自然の風景

富士と新年

あけましておめでとうございます。 富士山といえば松竹映画のロゴが連想されるわけだが、それが正月のイメージにつながるのは、やっぱり寅さんシリーズの影響だろうか。いかにも類型的なこの写真は、年末に寒風に吹きさらされながら、東名の富...
エッセイ

堀田善衞を読む

今秋、堀田善衞の本が2点刊行された。『上海にて』の復刊、そして『堀田善衛上海日記──滬上天下一九四五』である(いずれも集英社)。それに触発されて読みはじめ、以来続けざまに読んでいる。読むのは電車車中や寝床のなか。至福の時間である。 横...
エッセイ

規定なき処分?

サッカーについては素人もいいところだ。だがさすがに酷いとおもうので、書く。 サッカー天皇杯四回戦でJ1大分と千葉がベストメンバーを出場させなかったのは大会を侮辱していると、日本サッカー協会会長の犬飼基昭氏が吠えているらしい。 J...
エッセイ

どんぐり細工

「こんなかから何本出てくるとおもう?」。そういって、《くんくん》が筆入れからとりだしたのは、どんぐり細工だった。ひとつ、ふたつ、みっつ。つぎつぎと出てくる。 「どんぐり独楽」。お尻のところに長い爪楊枝が刺さっている。「どんぐり...
メディア論の視座

10月初めから気管支の腫れに苦しめられていた。ある日学生が来て、そんなに大変なら、うちの弟が喘息のときに飲んで効いた良い薬があるからわけてあげましょうかと言った。気持ちはありがたいが、学生にそこまで言わせるようではいけない。即日、いつも子ど...
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