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夏のゼミ生たち

前期が始まったころ、今年度の卒論ゼミ生たちの状況が全体にかなり厳しいということを「散歩の思考」にも書いた。まじめではあるが、言われたことをこなすことしかせず、こちらの顔色をいつもうかがって、それで十分がんばっていると思いこむ。そんな姿勢だった。ゼミ長の交代を余儀なくされるなど、一時は相当に覚悟を決めねばどうにもならないとおもっていた。

ところが、その後かれらは劇的に変化した。

いまや指導教員などほぼおかまいなし。しょっちゅう卒論の話しあいやら、8月初旬に実施予定の集中講義(名前は講義だが中身はワークショップである)の準備やらを進めている。じぶんの意見もいえるし、まっとうな批判もできるようになった。批判に耳を傾けることさえできるようになった。

じぶんたちなりのアイディアも出し、それを展開してゆくこともしはじめた。昨年のゼミのやり方をそのまま踏襲するのではなく、じぶんたちに必要なことは何かをよく考えて、それを実行にうつす。夏合宿で各自の卒論テーマ決めをする予定なのだが、それに先だち「プレ合宿」と称する会合を実施したらしい。土日にわざわざ大学に集まり、ゼミ生だけで卒論テーマについてえんえん話しあっていたという。

これほど劇的に変わったその転機がいつであり、何だったのか、ぼくには思い当たらない。ぼくはぼくなりにあれこれ働きかけはした。だが決定的な処方を施したわけではない。ぼくにはそんな力はないし、それほど便利な魔法などそもそも存在しない。かれら自身が、じぶんたちの意識変革と努力によって、少しずつ、みずからの殻を破ってきた。その結果だとしか言いようがない。

ゼミ生たちのそんな姿を間近に見られるのが、大学教師という仕事の、いちばんうれしい瞬間なのかもしれない。

明日から夏合宿だ。