万歩計

万歩計を買った。この春から数えて3代目である。

最初に買ったのは5月の連休明けだったろうか。先に「大学ダイエット」のエントリーで書いたように、いまの勤務先に赴任してから体重が減りはじめてきたので、これ幸いとこまめに歩くことにした。ただ歩くだけでは、どれだけ歩いたかがわからないし、だいいち張りあいがない。そこであれこれ思案したあげく、昨年からほぼフィールドと化しているヨドバシカメラ秋葉原でオムロンの曲玉型のものを買った。ポケットに放り込んでおくだけで計測可能というタイプだ。

購入した翌日、さっそく万歩計を携行して大学へ行き、授業をしてから神保町へ寄って帰宅した。ところが、やってしまった。ジーンズを洗濯機に入れるときに、ポケットの中身を検めるのをわすれていた。万歩計ごと、しっかり洗濯してしまったのだ。

脱水の済んだ洗濯機からジーンズを取り出してみて初めて気がついた。あわてて分解してみたが、すでに隅々までしっかり水がまわってアウト。電池を受ける金具には早くも錆が浮きだしていた。ふだん子どもたちに、服を洗濯機に入れる前にポケットの中をあらためるよう口酸っぱく言っている。誰に八つ当たりすることもできず、なんとも間の抜けた話だった。

しかたなく、すぐに同じものをもうひとつ購入した。2代目である。こちらは数カ月間、順調に使用していたのだが、子どもたちの目に入ったところから、雲行きが怪しくなりはじめた。

まず次男《なな》が「一日だけ貸して」と言いだした。貸してやることにした。一日つけて学校へ行き、そのあと学童へ行って、途中公園で遊んだりして、15000歩だった。つぎに、それを見た長男《みの》が「ぼくも貸して」と言いだした。貸してやることにした。14000歩だった。すると再び次男《なな》が「もう一日だけ貸して」という。そこで、ぼくが研究合宿に出かけて不在の日に貸してあげることにした。その日、ぼくが夜遅く帰宅すると、水浸しになった万歩計がテーブルに干してあった、というわけだ。

哀れなわが万歩計の姿を見ても、しかし「う、う、わかった、つぎから気をつけよう」くらいの言葉しか、口から出てこない。先にじぶんも同じ過ちを犯している。その記憶が邪魔をして、子どもにストレートに文句がいえないのだ。なんともストレスフルというか、間抜けな話である。

そんなわけで、この3代目万歩計、意地でも洗濯するわけにはいかない。毎日、ズボンを洗濯機に放り込む前に、ポケット確認に励むことにしよう。そう決意する頭の片隅で、つぎに万歩計を洗濯してしまったときの言いわけを考えようとしている。そちらのほうが輪をかけて情けない話だといわねばなるまい。