ヘアスプレー

ブロードウェイでロングラン中のミュージカル『ヘアスプレー』の来日公演が始まった。

ジョン・ウォーターズ監督の同名映画(1988年)を舞台化したものだ。手練れのスタッフによって、原作映画のアクは適度に消毒され、シックスティーズの気分でくるんで、手堅くまとめられている。ぼくが観たのは二日目の公演だが、ツアーとはいえ一生懸命やっており、なかなか見せてくれる。

残念なのは、後方に空席が目立ったことだ。迷っているひとがいるのなら、観ておくことをおすすめする。いちばん安いチケットでかまわない。中途半端なS席と大差ない。どのみちオーチャード・ホールはその構造上、芝居を観るには舞台が遠すぎるのだ。

『ヘアスプレー』は、ブラウン管のフレームをモチーフにしたセットのなかで演じられる。期せずして先週観た『ザ・ヒットパレード』と同じ(より正しくは『ザ・ヒットパレード』のセットが『ヘアスプレー』を参照しているはず)。物語構造上、どちらも60年代を主要舞台にテレビの──かなうはずのない──再神話化を志向する点も同じ。

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