先週来、ぎっくり腰である。
2月の中旬は毎年必ず体調を崩すのだが、今年は大丈夫そうだ、と油断したのがいけなかったのかもしれない。ある日どうも椅子の姿勢があわないなとおもっていたら、翌朝には腰が伸びなくなっていた。
さいわい今回はさほど深刻ではなく、とりあえず立つことはできた。ただ、痛くて直立できず、進化に失敗した類人猿のような恰好でしか歩けない。だいぶよくなったものの、それでも外へ出るのはまだ厳しい。だから日がな自宅で執筆している。もちろん、遅々として進まない。
執筆のために、ここ数日でジュディ・ガーランドの「トロリー・ソング」の場面ばかり何十回も観た。映画『若草の頃』(1944年)のなかのシーンである。トロリーの吹きさらしの二階でガーランドがうたうのだが、トロリーの速度や揺れと相まって、じつに示唆的であり、ミュージカル映画史上に残る名場面だ。授業で学生に見せたりしつつ、いつかこの場面について書きたいとおもっていた。
あれこれ調べているあいだは夢中だが、椅子から立ちあがろうとすると、じぶんが病人である現実に引き戻される。