突破者

筍である。

ついさっき、アスファルトを突き破って地上に姿をあらわしたばかり、なのだろうか。飛び散った瀝青片がなまなましい。散歩の途中に発見した。もっとも、ぼくが気づいたときには、筍の本体というか中身はすでになく、皮のみがその痕跡をとどめているだけだったのだけど。

手許にあったIXYで撮影していると、通りがかりの自転車のおじさんに、そりゃいったい何です? と声をかけられた。説明すると、わたしゃ毎日ここ通っているけど初めて見た、たいへんな生命力だ、とおじさんは感嘆した。

そして《あ》と三人で道ばたにたたずみ、しばしこの筍の功労を称えたのだった。