函館から札幌へやって来た。こんどは北大で集中講義をやるためである。サーカスみたいなものですね。
函館を出たのは午後3時。一般道で中山峠経由という最短ルートをとおっても、札幌まで約240kmを走らなければならない。カーナビさまの予測によれば8時間以上かかるという。ところが5時間後には、札幌のホテルのベッドにひっくりかえっていた。北海道以外ではありえない話だろう。
函館以上に涼しい。というより、むしろ寒い。実際の気温にそう違いはないのかもしれないのだが、とくに日が暮れたなら、東京ふうの感覚ではもうじゅうぶん初冬である。札幌在住の友人は、早くもストーヴをつけましたという。函館では半袖でとおしていたが、ここでは無理だ。
まわりの服装は両極端である。マフラーをぐるぐると首に巻きつけているひともいれば、Tシャツに短パンでコンビニたむろっている大学生らしき青少年もいる。かれらにまじって買物していると、ちょっと学生に戻った気がしないでもない──などと調子に乗っていると、外へ出たとき寒さが身に滲みる。
長袖は二枚しかもってきていない。初日の授業のあと、北大の先生に駅前のユニクロへつれていってもらい、さっそく長袖シャツとフリースを買った。