日曜日の夕方、左膝を傷めて以来、初めての散歩に出た。膝痛に追い打ちをかけるようにしていろいろとあり、ここ数週間、全般に超低空飛行だった。大学と病院に行った以外はほとんど外出していない。
谷沿いの住宅街をゆるゆるとくだる。川まで出ると土手の上を歩いて、崖の階段を登り、神社の横の急坂をまた少しくだる。距離にして4kmばかり、いつものように《あ》とおしゃべりしながら歩く。ふだんなら30-40分コースだが、小一時間かかった。歩く速さは、元気なときよりややゆっくりめ、くらいだったろうか。
ありがたいことに、膝に痛みはもうほとんど感じられない。その代わり、2/3ほど歩いたあたりから、左脚に疲労感が出はじめた。崖の階段を一段一段のぼってゆくときが、いちばんの難所だ。体重の載せ方が不適切なのか、どうかすると違和感が走る。すると、膝痛がひどかったときのあの感覚──じぶんの脚でありながらそうでないような、オリバー・サックス的感覚が一瞬だけ蘇る。
帰り着くころには「もう十分歩きました」という気持ちになっていた。これだけまとまった時間を歩いたのは、うーん羊蹄以来か、もしかして。くたびれたけれど愉しかった、というのが、リハビリ初散歩の感想である。