歩き遠足日和

この時期、小学校は歩き遠足と称して近所の公園にやってくる。公園はうちの近くだから、子どもたちはほとんどじぶんの家に帰ってくるようなものなのだが、それでも遠足は遠足、たのしいらしい。《なな》も《くんくん》もウキウキで出かけていった。

午後になって、車検に出していたランクルを受けとるために、ディーラーまで歩いてゆくことにした。江戸川沿いに出ると、小学生たちの隊列に出くわした。ちょうど写真のようなぐあいである(iPhoneで撮影)。市内のほうへ向かうところを見ると、うちの子どもたちの通う小学校とはまた別らしい。歩き遠足日和なのだろうか。

みんないちおう行儀よく二列にならび、通行の妨げにならないように左側に寄って歩く。歩きながら、気持ちは浮かれているのか、がやがやと賑やかだ。

男の子が「うみだー、うみー」と騒ぐ。海ではない。川である。でも、この日はかすかに潮の香りがした。ふだんならそんなことはないのだが。

「せんせー、まだスカイツリーが見えますぅ」と叫ぶ声が聞こえた。途中で折れた鉛筆のような灰白色のシルエットが、川向こうの空の春霞に半ば溶けかかりながら、蕭然とたたずんでいた。