浜岡原子力館へ行ってきた。
愛機ディフェンダーひるね号で新東名を爆走し(といってもせいぜい時速80kmだが)、島田金谷ICで降りた。ちなみに新東名を走るのは二度目。カーブも勾配もゆったりしているので、ディフェンダーのような非力な車にはありがたい。
先日乗った大井川鉄道の横を走っていたら、向こうからC56が黒煙をあげながらやってきた。良いことがありそうな気がしてきた(そうでもなかった)。茶畑を小一時間走ると、浜岡の街に入る。市街地に隣接して、浜岡原発はある。
夏休み期間中のためか、家族づれでにぎわっていた。少なからずおどろいた。
建物はかなり大がかりである。「門」という字のような形をしており、上は展望台になっている。登ってみると、原発の敷地が一望できる。写真も撮影可能だ。敦賀ではカメラを向けようとしただけで警備員がとんできて駄目だしをくらうほど厳しかったが、ここはどんどん撮影してくださいというスタンス。
展望室からは廃炉中の1, 2号機のほか、3, 4, 5号機はもとより、海上の浮き灯台のように見える取水口までが一望できる。
エレベーターの扉が開き、ワイシャツ姿の中年男性の団体がどやどやと展望室にやってきた。館専属の案内嬢がついている。彼女が解説を始めた。団体のおじさんたちは、いちおう興味ありそうなフリをしていたが、質問をするでもなく、ただ時間が過ぎるのを待っているようだった。ひとりはその間ずっとケータイに向かって大声で何かどなっていた。
悪いけれど、ぼくも横で解説を聞かせてもらった。
展望室から見えるサイトを一通り紹介したあと、海との境界に建造中の防波堤に注意を向けさせた。原発サイトの海側をぐるりと取り囲むようにして、盛り土と巨大なコンクリート造の建造物でもって、巨大堤防が設置されようとしている(写真の奧から右手にかけて。なお原子炉は左手にあるがこの写真には写っていない)。案内嬢は、この防波堤は津波対策であるといい、それがどれほど巨大で強力であるかを述べた。そして今年12月には完成する予定であると付け加えた。本日も何台もの重機が稼働して作業中であった。
どこのPR施設でも「見せたいもの」がある。あからさまに強調したりはしないが、展示や解説をよく見ていけば、来館者に何をどう「見せたい」のかというPR館側の意図はおのずと明らかになる。それを読み解くことが、まず基本であろう。
浜岡のばあい、いま現在のイチオシは「防波堤」であるらしい。
展示のほうも、やはり防波堤を強く押しだしていた。防波堤の構築物の実物大模型がある。実物大の原子炉模型もあるのだが、先ほどの案内嬢はその説明もそこそこに、防波堤について長い時間を解説していた。防波堤の模型の横には階段がついていて、その巨大さを実感できるようになっている。通常のコンクリート造よりも太い鉄筋が大量につかってあり、頑丈であることを訴えるための、カットモデルも用意されている。
防波堤をここまで強調するのは、津波対策が万全であるというふうにアピールすることで、再稼働への条件を整えたいからであろう。じっさい展示パネルには「懸念されるいかなる地震にも十分な耐震性を持っています」と大書されていた。福島第一原発がこんなことになる前にも、やっぱり同じようなことを言っていなかっただろうか。
──というわけで、今回はここまで。
書きたいことはいろいろあるのだが、あいにく今はちょっと立て込んでいる。状況が許し、気力があれば、いずれあらためて腰を据えてレポートします。──しかし「いずれ」って、いつだ?