おかげさまで体調は家族ともどもよくなりました。ご心配おかけいたしました。
所用の途中、静岡県の藤枝駅に立ち寄った。東海道本線のこの駅からは、かつて静岡鉄道駿遠線という軽便鉄道が発着していた。
その路線は軽便としては長大であった。藤枝の旧市街から藤枝駅をへて、大井川をわたり御前崎近くで牧の原台地を越え、いまの浜岡原発のすぐ北側をかすめるようにして西進し、袋井に至る。
とはいえ1970年には全線が消えてしまっている。ぼくももちろん模型や雑誌で知っているだけで、実物を見たことはない。
JR藤枝駅のガラス張りの真新しい(しかし近年どこでも見かけるような)駅舎を北口に出る。すぐ右手に隣接して駿遠線の新藤枝駅があった。一時はバスターミナルに使用されていたようだが、いまはビジネスホテルや巨大なマンションが建ち、奧は駐車場になっている。
そのさらに奧にいくと、小さな公園がある。ここに駿遠線の碑がたっている。「軽便鉄道駿遠線蹟」と刻まれていた。平成十年建立とあるから、意外に新しい。手入れも行き届いている。写真奧にみえる踏切は東海道本線のものである。
なおネット上の情報では、公園の向かいに日帰り入浴施設があるとされていたが、グーグルマップ上では更地となっており、ぼくが訪問した時点ではタワーマンションが建っていた。
碑のある公園から少し北東へいく。田沼街道という道路をわたったところに、斜めに入っていく小さな路地がある。写真右手の用水沿いの小径がそれだ。
たたずまいがいかにも軽便的である。駿遠線のうち大手方面へいく線路跡だったとおもわれる。そのような目でみると、何でもないただの路地が特別なものに見えてくるから不思議である。ただ、それは無理やり想像力を働かせるからであって、現実には往時の面影が残っているといえるような状態ではない。
路地を歩いて抜けると、すぐに広い道路に出た。その向こうに並木道が一直線に北へ延びていた。当時からあった並木かどうかはわからないが、40数年前まではこの並木道の位置に線路が延びていたのだろう。
ネット情報によれば、駿遠線の線路跡は道路になったり自転車道に転用されたりして、けっこう辿ることができるらしい。もう少し歩いてみたかったが、時間切れとなった。