川内原子力展示館

昨秋に能登の志賀原発周辺のPR施設を見てきて以来、しばらく中断していた原発PR施設を見にゆく旅。なんとか日程を確保できたので、鹿児島にある九州電力の川内原子力展示館を見にいってきた。

薩摩川内市から川内川沿いの道(鹿児島県道43号)を西へ。途中、向かいあって立てられたスイシン派とハンタイ派それぞれの立て看板が門柱、あるいは狛犬のようにして来訪者を出迎える。

川内原発の敷地は鉄条網と監視カメラ付きのフェンスでくまなくガードされており、軍事基地のようである。展示館は池のほとりにたっていた。池をはさんだ対面に、川内原発の原子炉建屋がみえた。

敷地内は手入れが行き届いている。原発建設以前、このあたりは海沿いの荒れ地だったらしい。

入館すると、制服に身を包んだ二人の受付嬢が応対してくれる。どこから来たかを来館者表に記せという。書くと、パンフレットとボールペンをくれた。

展示は二階。

実物大の原子炉格納容器の模型のなかに入っていく。これが展示の「目玉」。

そのほかの展示内容は全般的に他のPR施設と大差ない。

展示コーナーごとに受話器が設置されていた。受話器を耳にあてて説明を聞く、ということらしい。電話は、個人どうしの通話につかわれるよりも以前に、いまでいう有線の放送のような形態が存在していた(『メディアとしての電話』)。その先祖返りみたいなものである。

各コーナーには箱がおかれ、「原子力クイズ」なるプレートが入れられている。クイズやゲーム仕立てという趣向も、多くの原発PR施設に共通して見られる。

原爆との違いを強調するパネル。ここまで直截的なものはわりに珍しい。核兵器と商業用原子炉の違いを述べてはいるものの、使用済み核燃料の転用可能性については一切触れられていない。

ぼくが見ているあいだ、例によって来館者は誰も来なかった。館内には、さまざまな展示機械が点滅させる光と、説明を再生する音、そして何かおしゃべりしている受付嬢たちの声だけが響いていた。