山下達郎「マニアックツアー」に行ってきた。
場所は、今回はわけあって、いつもの中野サンプラザではない。大阪フェスティバルホールである(二日目)。新幹線で出かけていき、翌朝始発で東京に帰ってきた。
フェスティバルホールを訪問するのは初めて。旧フェスティバルホールのすばらしさは、なにより山下さん本人があちこちで語っていた。新ホールは昨年新築されたばかりで、旧館の良さを引き継いだ良いホールだということだったので、一度見てみたかった。
落ち着いた雰囲気の、立派なホールだった。あいにくホールの音響の良し悪しまではっきりわかるような耳はもっていないのだが、素人なりにも、悪くないように感じられた。
もうひとつ愉しみにしていたのは、大阪のノリ。東京とどれだけ違うかと密かに愉しみにしていたが、今回にかんしては、なにか著しい相違があるわけではないようにおもわれた。おもしろかったのは、開演後もけっこうしばしば観客が出入りすることである。トイレに行くのだろうが、そういうことをあまり遠慮するような感覚でないのが、おかしかった。鷹揚なのだろう。
こちらも中学生の時分からの古いファンだから、山下さんのコンサートは、もう何十回と見た。でも、大学に入る前にかよっていた名古屋の愛知県勤労会館をのぞけば、地方のコンサートを見たのは、これが初めてだった。山下さんのコンサートにのぞむ感じも少し違うように見うけられた。それを見ることができたのも興味深かった。
内容的には、いつものように高度な質を保ったうえでの全力のパフォーマンスであった。毎度のことながら、頭が下がる。
そして、要所において、大瀧詠一さんへの哀悼を強く感じさせる内容でもあった。聴いていて、つい涙が出てきてしまった。もちろん、MCなどでは、そんなことにはひと言も触れない。その姿勢がじつに立派である。ぼく個人にとっては、学ぶべき規範であるとおもっている。
なお、セットリストにかんしては、言うまでもなく、ここでは触れない。実際問題として、これからコンサートに行かれる方は、事前に情報を仕入れずに会場へ行ったほうが、たぶんより愉しめるのではないかとおもう。
ただし、これだけは「広めてあげてください」という山下さん御本人からの「伝言」なので、ここにも記しておきます。
クラッカーは持参しましょう。