以前にお世話になったミシガン大学日本学研究センター(CJS)から、 “COVID-19 and Anti-Asian Bias: What to know and What to do” と題されたポスターが送られてきた。UAAO: United Asian American Organizations というアジア系の学生連合で、学部の学生さんたちがつくったものだという。ミシガン大学もずっと閉鎖されているそうなので、オンライン上でやりとりしながら作成したのだろうか。
学生たちのつくったポスターは(当然ながら)英語で書かれていた。そこで、頼まれたわけではないけれど、ざっと日本語に訳してみた。向こうでどれほど需要があるのかはわからない。ともかく送っておいた。なにかのお役にたててもらえれば。
ところで、日本でもいくらか報道があるが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の蔓延にともなって、アメリカでは(ヨーロッパでも)アジア系の住民にたいするあからさまな差別行為が横行し、問題になっているようだ。
アメリカに住んだ経験のあるひとならば、世情が不安定となるなかであの国でマイノリティとして過ごすことがどれほどの恐怖を(少なくとも潜在的に)ともなうか、容易に想像がつくだろう。ひとであれ社会であれ、危機には地金が露呈する。不安にもとづく恐怖は、ふだん抑圧したり隠蔽したりしている意識を露わにするからだ。
ニューヨーク・タイムズの全米感染マップで見ると、ミシガン州でも多くの感染者がでていることがわかる。ミシガン大学のあるアナーバー市は、まだだいぶマシなようだ。感染率が高いのは、やはりデトロイトを中心とした地域である。しかも感染者はあきらかに黒人や低所得者層において多いという。感染というフィルターをとおして、人種や所得などの社会的格差が露わになっている。
昨日たまたまワシントン・ポストで読んだ記事は、毎日死の恐怖とたたかいながら仕事をしているデトロイトの公共バス運転手の話だった。かれはじぶんの職場、すなわち運転するバスのことを「長さ40フィートのコロナウイルス培養器」と、半ば自虐的によぶのだった。