ミシガン産のクラフトビールがうまいぞという話のつづき。なおミシガンとは、アメリカ合衆国の中西部にあるミシガン州のこと。前回はこちら。
ブリュワリーのつくるクラフトビールには、年じゅう売っている銘柄のほかに、季節ものもある。夏だと、たとえばサマーエール。
上の写真の右上に映っているのは、Bell’sのOberon Ale。5月から8月まで売られている。夏のビールらしく柑橘の香りがした。サマーエールは全般にフルーティーで甘く薄いので、あまり好みではなかったが、例外的にこれは気に入っていた。
秋に出まわるビールも多い。Bell’sのBest Brown Aleは9月から10月がシーズンだ。味はもうよくおぼえていないが、ウェブサイトの記載を見るとスタウトよりやや軽めみたいなことらしい。
こちらも秋にでまわるビールのひとつ、Bell’sのオクトーバー・フェスト。紅葉色のラベルが、季節もの感を主張している。オクトーバー・フェストは、いうまでもなくドイツの秋のビール祭りから来ているのだろう。参加したことはないが、ドイツのオクトーバー・フェスでは専用のビールが供されるという話だ。Bell’sのオクトーバー・フェスにかんしては、味の面で独特のものがあるかというと、そういうことはないようだった。
冬には冬の季節ビールが出まわる。
これはBell’sのWinter White Ale。ホワイトエールとは小麦のビールだ。季節もののビールはたいてい通常のものよりフルーティーで、ホワイトエールもそう。
冬のビールの典型といえばクリスマスエールである。
このクリスマスエールは、Frankenmuth Breweryというブリュワリーがつくっている。ここもWikipediaには載っていない。だがウェブサイトはいまも生きているようなので、たんにリストから漏れているだけのようだ。
ちなみに、フランケンムースとはミシガン中部にある街の名前である。その名から推察されるように、ドイツ系の移民たちがつくったらしい。その関係なのかどうかはわからないが(たぶんその関係なのだろう)、ここには世界最大のクリスマス・グッズ専門巨大マーケットがある。真夏も含めて、1年365日ほぼ毎日営業しつづけてクリスマス商品を売っているという、ちょっとどうかしているのではないかというお店である。ぼくも友人に教えられて見にいったことがある。
こうしてみると、もっともよくのんでいたのはBell’sであったようだ。ぼくは基本的に毎日自炊し、毎晩2本ペースでのんでいた。
これはBell’sのAmber Ale。もっとも標準的な銘柄で、通年出まわっている。ちなみに写真でビール瓶の下にあるのはポキで、ハワイふうのヅケ。お惣菜としてスーパーで売られている。
PorterはBell’sの黒ビール。黒ビールはぼくには甘みがちに感じられることが多いが、これは苦みが強くておいしかった。
ちなみにプレートの上の茶色い円盤状のものは豆のチップスである。アメリカのスーパーには星の数ほど多種類のチップスがボタ山のごとく売られていたが、大半がポテト。だがその山をよく探すと豆のチップスがあり、これはおいしかった。プレート左下のワカモレ(アボカドのディップ)をつけてたべると、このうえなくビールとあう。写真のワカモレはスーパーで買ってきた出来あいのものだが、メキシコ人のおばさんに教えてもらったレシピでじぶんでつくると、これがまたうまかった。
話を戻す。Bell’sがビール生産をはじめたのは1985年だという。いまはカラマズー市のまんなかに工場がある。一度立ち寄ってみたことがあるが、あいにくその日の工場見学ツアーの終わったあとだった。
Bell’sのビールは州外にも出荷されている。昨夏LAへ立ち寄ったときには、Whole Foodsでも見かけた。しかし残念ながら、日本までは入ってきていないらしい。
昨今はアメリカのクラフトビールを積極的に紹介しているネット通販の店もある。だがBell’sは見あたらない。そういうサイトの取扱銘柄は、Blue MoonだとかFlat Tireのように、クラフトビールといえどもややメジャーに寄った品揃えである。そのうえ現地価格からするととんでもなく高い。輸入の手間や酒税の関係でやむをえないことだとはおもうが、それにしても。
日本でもBell’sをのめるようになればうれしい。しかし、むやみに高価になるのも困る。それに、ビール、とりわけクラフトビールは、基本的には地産地消、産地とおなじ気候風土のなかでのむのが、いちばんおいしいとおもう。
とすれば、ミシガンのビールがのみたければ、またミシガンへゆくほかない、ということだろう。いつになることか。
この項おしまい。