「メディア」の意味が近年変わってきた、と某紙に書かれていた。いわゆるソーシャルメディアの台頭がその要因なのだそうだ。
そうなのか?
こういうものの言い方が平然とできてしまうという前提には、これまではメディアといえばマスメディアのことであった、という認識があるだろう。
たしかに、マスメディアのひとたちは、しばしば、じぶんたちのことを「メディア」と自称したりする(米国のジャーナリズムによく見られる語用の輸入形であろう)。
「メディア」という言葉をこのように使用できる感覚にとって、メディア=マスメディアという図式を基本に据えるのは自明のことなのかもしれない。それはそれでも、まあかまわない。
だがぼくから見れば、それは一面的・限定的であり、なんとも違和に満ちた用法である。
むしろこのような用法は、medium/media という語にたいする無神経さを示すばかりか、マスメディア的なメディア観がどれほど天動説的であるかを物語っているように、ぼくにはおもわれる。
レイモンド・ウィリアムズの『キーワード辞典』の、media や mediation の項目を読んでみるといい。